2002 Fiscal Year Annual Research Report
連星中性子星における一般相対論的準平衡形状の数値的研究
Project/Area Number |
02J06898
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 敬介 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 連星中性子星 / 重力波 / 一般相対論的準平衡形状 / 数値計算 / スペクトル法 |
Research Abstract |
連星中性子星の準定常段階において、アインシュタイン方程式を解いて連星系の時間発展を数値的に追う事により、軌道収縮速度や放出される重力波を求める事が最終目的であるが、今年度は、連星系を直接時間発展させるという事はせずに、連星中性子星のバリオン質量を固定した上で、いろいろな連星間距離での平衡解を求めて系列を構成した。これは、重力波放出による軌道収縮時間が軌道周期よりも十分長いという近似の下、連星系が徐々に進化していくことをモデル化したものである。本研究では、一般相対論的な連星中性子星で、質量の異なった星で構成されている場合について世界で初めて準平衡解を求め、連星間距離が離れている時から合体直前までの系列を求める事に成功した。 本研究では、中性子星の状態方程式をポリトロープでモデル化し、その断熱指数が2の場合について数値計算を行った。新たに明らかになった結果としては、同期回転する場合の連星中性子星に関しては、連星系を構成する2つの星に少しでも質量差があれば、平衡解の系列の終点は軽い方の星の潮汐破壊による質量放出であり、渦無し回転している場合は、等質量星で構成されている場合も非等質量星の場合でも潮汐破壊による質量放出で終ることが挙げられる。また、連星系の安定性と関係のある、全エネルギーが最小値を取る点に関しては、渦無し回転している場合には存在せず、同期回転する場合では、等質量のときには存在するが質量差が大きくなるにつれて潮汐破壊が起こる方が先に来るようになる傾向を発見した。 更に、等質量星からなる連星系の場合について、進化の過程で放出される重力波を四重極公式で評価し、その振動数がどのように変化するかについても調べた。この研究により、連星間距離が近いときの重力波の振動数の変化と星のコンパクトさとの間に関係を付ける事ができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Keisuke Taniguchi: "Quasiequilibrium sequences of synchronized and irrotational binary neutron stars in general relativity. III. Identical and different mass stars with γ=2"Physical Review D. 66. 104019 (2002)
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[Publications] Joshua A. Faber: "Measuring Neutron-Star Radii with Gravitational-Wave Detectors"Physical Review Letters. 89・23. 231102 (2002)