2004 Fiscal Year Annual Research Report
連星中性子星における一般相対論的準平衡形状の数値的研究
Project/Area Number |
02J06898
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 敬介 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 連星中性子星 / 一般相対論的準平衡形状 / 状態方程式 / 数値計算 / スペクトル法 |
Research Abstract |
連星中性子星の準定常段階において、アインシュタイン方程式を解いて連星系の時間発展を数値的に追う事により、軌道収縮速度や放出される重力波を求める事が、本研究の最終目的である。この状況は、重力波放出による軌道収縮時間が軌道周期よりも十分長く、連星系が徐々に進化していくと近似できる。従って、連星系を直接時間発展させずに、連星中性子星のバリオン質量を固定した上で、いろいろな連星間距離での平衡解を求めて系列を構成する事により、連星系の進化をモデル化することができる。 本研究では、中性子星の状態方程式として原子核物理学から導かれたモデルを採用し、連星間距離が離れている時から合体直前までの系列を数値的に求めた。この様に、現実的な状態方程式を使って連星中性子星の準平衡解系列を求めたのは、本研究が世界初である。得られた結果の内、連星系の結合エネルギーについては、連星間距離が離れているときは3次のポスト・ニュートン近似によって求められた結果と良く一致していることが挙げられる。これは、中性子星の表面近くに「クラスト」と呼ばれる状態方程式的に軟らかい部分が存在し、中性子星が潮汐変形しにくくなっているためであると解釈できる。また、連星間距離が近付いてくると、中性子星の中心部分に存在する「コア」と呼ばれる状態方程式的に硬い部分の影響で、3次のポスト・ニュートン近似の結果から、ポリトロープ型の状態方程式の場合と比べて急激に離れていくことが判った。
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