2004 Fiscal Year Annual Research Report
物の認識と心の認識の関連性-発達認知神経科学研究からの検討-
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02J06921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 郷子 (大泉 郷子) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 幼児 / 意図の認識 / ソースモニタリング |
Research Abstract |
本年度は,アスペルガー症候群の患者に対する検討の前段階として,幼児を対象とした発達研究を行った.健常な幼児の心理現象の認識の発達過程を検討するため,心理現象の1つ,意図の認識の発達過程を検討することを目的に実験を行った.幼児の意図の認識に関しては,すでに先行研究によって,幼児の"結果重視主義"が指摘されている.すなわち,"結果的に行為者の目標が達成されたならば,その行為者はそれを意図的に行ったのだ"と,目標と結果との比較によってその行為者の事前の意図を判断する傾向である.そのように,事前に自己が持っていた意図の想起が困難な幼児の場合,活動中の個々の行為や出来事についてはどのような記憶を持っているのか検討するため,新たな課題(ジグソーパズル課題)を作り,自己の持つ過去の意図の再認能力と,自己の過去の行為の記憶についての関連性を検討した.具体的には,3歳児から6歳児を対象に,実験者と被験児が交互にピースを置きながらパズルを完成させようとした時に,偶然当初の意図とは異なるパズルが完成する事態を人工的に設定した.その上で事前の意図を問うテストと,それと合わせて,パズル作成中の記憶を問うテスト(ピースを誰が置いたかを問うソースモニタリングテスト)を行った. 結果として,特に4歳児までは,自己の過去の意図を問われると,自分が実際に意図していたパズルではなく,実際に作ったパズルを作ろうと意図していたと答える結果重視主義が見られ,先行研究を追認した.さらに,過去の意図を正しく認識できる子どもは,現在の文脈と関連する行為に選択的に注意を向ける能力が高い点で,意図を保持できない子どもと異なることがわかった.
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Research Products
(1 results)