2004 Fiscal Year Annual Research Report
貿易や貿易圏の存在が経済成長に与える影響についての実証分析
Project/Area Number |
02J06929
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下井 直毅 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 価格の粘着性 / サービス業 / 限界費用 / デフレーション / リカードの中立性命題 / 財政赤字 |
Research Abstract |
一つ目としては、価格の粘着性について、各産業(製造業14業種、非製造業3業種の合計17業種)別に推計した論文を作成している。Calvo(1983)のモデルによると、価格を改訂する確率を常に一定にしているものの、実際には価格の上昇局面と下降局面とでは価格の粘着性の度合いに違いがある可能性もあり、より新しいデータを用いて、分析することを試みている。 価格の粘着性を推計する上では、限界費用をいかに計測するかという点が特に重要であり、サービス業の限界費用をいかに正確に把握するかという問題に直面している。 また、こうした価格粘着性の度合いについて、国内の産業別の推計に限らず、国際比較も試みたいと思っている。 さらに、貿易財と非貿易財の価格の粘着性の度合いを比較することで、日本が現在直面しているデフレーションの状況を説明することができないか、と思っている。その際には、日本のデフレの原因のひとつに挙げられている需要の弱さの影響をいかに取り除いて分析できないか、と思っている。 (Calvo(1983):"Staggered Prices in a Utility-maximizing Framework,"Journal of Monetary Economics,12.) また、二つ目としては、デフレ下における政策のあり方について、リカードの中立性命題が成立すると仮定するときと、成立しないと仮定するときとに分けて、金融政策や財政政策を行なう結果がどのように異なるのかということを分析している論文もあわせて作成している。この論文ではさらに、財政赤字が非常に大きいときと、そうでないときとに分けて、デフレの状況を脱出する道のりがいかに変わってくるかということについても分析したいと思っている。
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