2002 Fiscal Year Annual Research Report
貿易や貿易圏の存在が経済成長に与える影響についての実証分析
Project/Area Number |
02J06929
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下井 直毅 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 羊毛産業 / 流通構造 / 貿易パターン / 分業構造 / 小売業 |
Research Abstract |
まず、日本の羊毛産業についての論文の作成が挙げられる。この論文では1990年代以降を中心に羊毛産業がどう展開してきたかということについてまとめている。論文名は"Wool products market in Japan : Recent developments"(with Motoshige Itoh、2002年12月)になる。ここでは、羊毛製品の生産拠点に近年大きな変化が出ており、中国における紡織や縫製などの活動が拡大しているという実態を追った。90年代前半まではオーストラリアから原毛を輸入し、糸を作る工程、布を作る工程、製品にする工程など、すべてが日本で行なわれていたのだが、90年代に入ってその工程は変化したといえる。しかし、ここで重要なことは、すべての活動が中国へシフトしていったと考えるべきではなく、最終消費地としての日本市場の重要性は依然として大きいということができる。この論文では、羊毛産業の分業構造、とりわけ国境を越えた労働の分業構造を明らかにするとともに、近年の貿易パターンや流通構造の変化について分析を行なっている。 また、日本の流通サービス業の自由化についてまとめた論文を作成した。論文名は"The costs and benefits of distribution services trade liberalization : Japan"(with Motoshige Itoh、2003年5月)になる。これはAPECのCommittee on Trade and Investment(貿易・投資委員会)への研究報告になる。日本の流通サービスの規制緩和は、80年代にアメリカとの深刻な通商問題として取り上げられた。89年から90年にかけての日米構造協議では大店法の規制緩和が大きな課題になったが、この大店法が規制緩和され、大型店やチェーン型の小売業が大挙して進出したことは、こうした市場アクセスの障壁に大きな風穴を空けることにつながった。この論文では、ここ10年の流通業の規制緩和の動向を追い、その効果をみたものである。 また、今年度は日本評論社より「マクロ経済学パーフェクトマスター」(2003年3月)と題したスタディガイドを執筆した。
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Research Products
(1 results)