2002 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける日本―人、文化、情報の相互的国際移動をめぐって―
Project/Area Number |
02J07026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中町 千絵 (酒井 千絵) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 人的国際移動 / 香港:中国 / 文化交流 / グローバル化 / 社会学 |
Research Abstract |
本研究は、日本からアジアへの人の国際移動を対処津押し、現代社会における移民行為とこれを引き起こす日本-アジア間の相互的な社会的、政治経済的、文化的な構造を明らかにするものである。 本年度の研究実績は以下のとおりである。 まず、現代日本でのアジアを含むさまざまな地域への人の国際移動を理解するために、近代以降の日本人の国際移動を歴史的に検討した。これまでの日本における移民を、政策的に推進された国際移動、政策移民が終了した後に増加した経済のグローバル化にともなう派遣駐在員とその家族による海外長期滞在、そして近年の個人化された国際移動に分類し、それぞれの変遷をとおして、日本において国際移動が国家や社会によって管理されるものと個人的な移動とに区別され、後者は社会的にも、学術的にもほとんど把握されてこなかったことを明らかにした。(第75回日本社会学会 文化・社会意識部会にて口頭発表) 次に、現代日本における、香港をはじめとするアジア地域への国際移動を引き起こしているマクロな構造について、現代日本の就業構造の変化、国際移動や海外長期滞在に対する意識の変容、日本企業のアジア地域(特に中国)への投資と進出の実態、などから総合的に考察した。 また、香港における現地フィールドワークを行い、香港での滞在が長期化しつつある日本人の長期滞在者への聞き取りを行った。調査をとおして、滞在の長期化において、永住ビザ(永久居民)の取得が長期滞在の基盤を安定させるとともに、必ずしも香港での永住を意図するものとはみなされていないこと、香港及び中国に対する日本企業の投資や海外進出の変化(金融から製造業へ)が、香港に滞在する日本人の就業する業種を変化させていること、などがわかった。
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Research Products
(1 results)