2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 哲生 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 顔の魅力 / 進化心理学 |
Research Abstract |
本研究では,進化心理学的観点から人間の顔の魅力に関する問題を検討している.とくに(1)男性の顔における雄性化・雌性化が魅力に及ぼす影響と(2)目の形態に対する選好性、(3)霊長類(とくに大型類人猿)との類似性について,実験心理学的手法を用いて検討する.本年度は、とくに(3)について詳細な検討を行なった。その結果を以下に報告する。 霊長類における顔の雌雄弁別能力 大型類人猿(とくに,チンパンジー)において,顔はどのような情報を含んでいるのだろうか?人間と同じように,顔には異性個体の魅力に関わる情報が含まれているのだろうか?こうした問題を検討するための第一歩として,彼らが顔だけの情報から雌雄の区別をできるかを検討した.まず,チンパンジー(N=40)の顔をデジタルビデオカメラで撮影し,その後パソコンに取り込みデジタル処理を施して,刺激となる写真サンプルを作成した.次に,チンパンジー4個体を対象として,ジョイスティック・システムを用いた見本合わせ法(matching-to-sample method)を行った.見本刺激として,雄あるいは雌の顔を提示し,次に選択肢として,(見本とは異なる個体の)雄と雌の顔をそれぞれ左右に提示した.チンパンジーは,見本刺激と同姓の個体の写真を選択することを要求された.その結果,彼らは,同姓の顔写真を有意に選択することができなかった.しかしながら,ある試行内では有意に選択できることもあり,より工夫を凝らした実験手続きを行えば,成績が改善する余地がある.よって,来年度も,この問題についての検討を継続する予定である.こうした検討から,顔の魅力に関する進化的な意味がより明らかになると思われる.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kobayashi, T., Hiraki, K., Mugitani, R., Hasegawa, T.: "Baby arithmetic : One object plus one tone"Cognition. 91・2. B23-B34 (2004)