2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 哲生 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 顔の魅力 / 進化心理学 |
Research Abstract |
本研究では,人間の顔の魅力に関する問題を進化心理学的な観点から検討した. (1)男性の顔における雄性化・雌性化が魅力,および性格印象に及ぼす影響を検討した.モーフィング処理によって男性・女性それぞれの平均顔を作成し,それらをもとにして,男性の平均顔に男らしさと女らしさをそれぞれ加えた.被験者には,男性的な顔と女性的な顔に対する魅力度,および性格印象をそれぞれ評定してもらった結果,女性的な顔は魅力的だと評定されると同時に、「外向性」と「誠実性」、「調和性」の因子で高い評定を得た。こうした結果から,性格印象の点から女性的な顔に対する魅力の影響が示唆される.また,顔の好みと性格印象が「性周期」によって左右されるかどうかを,「気軽につきあう相手(short-term partner)」と「長期的な関係の相手(long-term partner)」という2つの文脈を設定して検討した。その結果、性周期によって顔の好みが変化することを再度確認した。だが、2つの文脈間には完全なる一致は見られなかった.さらに性格印象については,性周期による変化は見られなかった.こうした結果から,性周期の影響は,顔の知覚過程においてのみ起こっており,性格印象の点までは変わらないことを示している. (2)顔の魅力を系統発生的に考えるために,大型類人猿における顔の雌雄弁別実験を行った.チンパンジー(N=4)を対象として,ジョイスティック・システムを用いた見本合わせ法を行った結果,彼らは顔の情報のみから雌雄弁別することができなかった.また長期間による学習を行った後でさえ,成績が向上することはなかった.一方,顔の表情判断においては非常に成績がよかった.このことから,情動を示す情報については顔の情報を利用できるが,雌雄判断には使用できいないことが示唆された(米国・国立ヤーキーズ霊長類研究センターにて).
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Research Products
(1 results)