2002 Fiscal Year Annual Research Report
産業構造・雇用戦略の変容と若年労働市場の変貌に関する教育社会学的研究
Project/Area Number |
02J07037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
筒井 美紀 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 新規高卒 / 技能工 / 技能伝承 / 学力 / 人格特性 / 年齢バランス |
Research Abstract |
今年度は、新規高卒採用企業のインタビュー調査を中心に研究を実施した。国内の企業は、新規高卒技能工の求人を大幅に削減したものの、依然出している。そのニーズは一体何だろうか。いつまで続くのだろうか。先行研究が答えていないこれらの疑問を解明するため、インテンシブな調査を行ったのである。企業の内部に充分なメスを入れることが重要なのは、それによって高校が果たしている教育機能・労働力供給機能がより明瞭にされるからである。得られた知見は以下の4点に整理される。 ○知見1:生産現場は、自動化による省人化の徹底が進行中であるけれども、さほどドラスティックには変化していない。 ○知見2:企業は省人化と同時に、新規採用も行っている。これは、単なるスリム化・人件費削減ではなく、むしろ強みの維持・再構築である。 ○知見3:新規高卒技能工の選考方法や採用基準は、20年前と比べて大きく変わっていない:人格特性が最も重要で(面接の最重視)、日々の実務は中学2年程度(四則算、∠A+∠B+∠C=180)で事足りる。但し、直ちには実務に要求されない学力(二次方程式や因数分解のレベル)は、将来的な実力の伸びを左右している、と認識されている。 ○知見4:中途正規採用者よりも新規高卒が選好されるのは、現行の高卒就職システムが、如上の生産・雇用システムと整合するからである。さらに、これを補強する要因は、技能工の中途採用市場が人的ネットワークをその特徴とする、という点である。 現在、論文執筆中であり、雑誌論文という形での発表は、平成15年度に精力的に展開する所存である。
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Research Products
(2 results)