2002 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀中国の国家統合における「辺疆」少数民族問題―内モンゴル・新疆の場合(1940〜50年代)
Project/Area Number |
02J07075
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥村 豊子 (吉田 豊子) 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ヤルタ協定 / 中ソ友好同盟 / 中ソ関係 / 外モンゴル問題 / 新疆問題 / 内モンゴル問題 / 国民政府 / 中国共産党 |
Research Abstract |
米ソ冷戦体制の形成を基本とする国際関係、とりわけヤルタ協定の産物である「中ソ友好同盟条約」の締結、およびこの条約に基づく実際の中ソ関係が国民政府の「辺疆」問題への対処に与えた影響を明らかにするために、(1)中ソ友好同盟条約の締結過程における外モンゴル問題(口頭発表、中央大学民国史研究会、)、(2)北塔山事件の国民政府の内政外交への影響(口頭発表、冷戦と周辺関係国際学術討論会、、中国)、を主要なテーマとして研究してきた。(1)では、英語と中国語の史料を中心に、外モンゴル問題が中ソ間の最も主要なイシュであったことを明らかにした。今後、ロシア語史料の利用を積極的に検討したうえで、論文を作成する予定である。(2)では、1947年当時の国民政府外交部档案を中心に、事件をめぐる6月10日の国民政府トップ・レベルの政策決定過程およびその結果を明らかにするものである。中ソ関係の悪化という大きな背景が根底にあり、国民政府は協調から対抗へという米ソ関係の変化を利用して、アメリカと国際社会にソ連を牽制させようと企図した。しかし米は国民政府の期待に応えなかったため失敗に終わり、その結果、関係正常化へ向けた中蒙外交交渉が中断し、新疆問題の解決を一層困難にしただけではなく、中ソ関係全体が一層悪化する要因の一つになった(現在、成果の公表に向けて努力中である)。また、公表論文「戦後中国共産党の内モンゴル民族運動への対応-中国国民党の憲法制定国民大会まで」では、国共関係の変化を主要な分析視角とし、憲法制定国民大会までの共産党の政策変化の過程を明らかにした。執権政党の国民党と比べ、現実的な政治的利益を重視するために曲折が免れられない、という共産党の内モンゴル政策の性格を、明確に打ち出した。
|
Research Products
(1 results)