2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 禅 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 制度論 / 行政裁量 / 運用実態 / 流域管理 |
Research Abstract |
流域住民の参加による水環境保全計画の策定の枠組みを考える場合,先行する様々な住民参加制度をその参考とすることができる.とりわけ,近時,基礎自治体において活発な取組みが見られる地区土地利用計画の策定に際しての住民参加での経験は,当該区域の水質が土地利用を介して人間活動の影響を受けるという点で,水環境保全計画の策定における住民参加に対して大きな示唆を与えるものと期待できる.この様な視座に立ちこれまでの研究では,先行するこれら取組みにおいて,如何なる形で計画組織が編成され,計画の策定が進められたのかを,丹念な聞き取り調査と現地踏査により,明らかにしてきた. 今年度は,これまでの国内での事例研究を制度論的に検討する論文を発表した.ここでは,住民参加を規定する制度に関わる問題を行政の裁量余地の観点から整理するため,制度における手続の規定内容と実際の運用実態との比較を行ない,(1)策定される計画項目に関する裁量余地が大きいこと,(2)計画担保のための同意要件の設定は明確にされているものの,これが一部自治体においては運用段階では遵守されていないこと,の2点の問題を指摘した. 本年度はこの他に,オーストリア・ウィーン工科大学に在籍するMeinhard Breiling博士と共に,我が国とドナウ川流域諸国との間での河川流域管理に関する比較研究を実施し研究論文として取りまとめた.ここでは,我が国の流域管理について報告すると共に,両国の管理方法を制度的背景・経済的背景を考慮しつつ比較した.
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Research Products
(3 results)