2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07152
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸本 功 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 弦の場の理論 / 非摂動的真空 / 開弦の場の理論の厳密解 / Moyal積による定式化 / 正則化 / ファインマン図 / D25ブレーンの張力 / 数値計算 |
Research Abstract |
超弦理論の非摂動的定式化の研究への準備として今年度はボゾニックな開弦の理論の非摂動的定式化の一つであるWitten型の弦の場の理論を詳しく調べた。タキオンが凝縮した非摂動的真空では開弦が消えているという物理的な予想(Senの予想)があるが、それを厳密に解析的に示そうという動機のもとで、まず、開弦の場の理論の非自明な古典解を調べた。厳密解としてはVSFTを導くもの(11.の最初の論文で調べた)のほかにも、高橋-谷本の解が知られていた。後者はパラメータのある値のところで非自明な解になっていると予想されていたが、それを解のまわりの新たなBRS電荷のコホモロジーを調べることで示したのが11.の2番目の論文である。実際、その高橋-谷本解のまわりではコホモロジーが自明になっており、開弦の摂動的励起が消えていることがわかった。これは、この解が非摂動的真空としてSenの予想に合致する証拠の一つである。さらなる証拠を示すためにはこの解におけるポテンシャルの高さがD25ブレーンの張力と等しいことを示さなければならないが、これは解の性質上、素朴な計算では特異性をさけられず、適当な正則化が必要だった。 そこで、最近提案された正則化の一つであるMoyal積による定式化(MSFT)に注目した。ところが、bcゴースト部分についてはまだ定式化されていない状況だったので、matter部分と同様にMSFTを構成した。さらにこのMSFTが正しく正則化された理論かどうかを確かめるためいくつかのファインマン図を計算し、矛盾がないことを示した。(11.の3番目の論文。)また、非摂動的真空を求めるための数値計算も行った。 これらの各段階において今年度科研費で購入したパソコンを大いに活用してさまざまな計算および論文等の執筆を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] I.Kishimoto, K.Ohmori: "CFT Description of Identity String Field : Toward Derivation of the VSFT Action"Journal of High Energy Physics. 05. 036 (2002)
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[Publications] I.Kishimoto, T.Takahashi: "Open String Field Theory around Universal Solutions"Progress of Theoretical Physics. 108巻3号. 591-602 (2002)
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[Publications] I.Bars, I.Kishimoto, Y.Matsuo: "String Amplitudes from Moyal String Field Theory"Physical Review. (印刷中).