2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠原 雪夫 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 定常過程 / 偏相関関数 / 予測 / 長期記憶 / FARIMA過程 / 新生過程 |
Research Abstract |
井上と笠原による長期記憶を持つ定常過程の偏相関関数、平均二乗予測誤差の漸近挙動に関する一連の研究により得られた結果は大変美しいものであり、その背後には何らかの意味深い仕組みが存在しているように思われる。現在の主な研究目標はその仕組みを解明することである。前年度までに行なってきた研究で、補外の問題に起因する困難を克服するための方法を開発し、発展させてきたが、今年度の研究では、その方法にSzegoの直交多項式の理論を取り込むことにより、更なる有用性を発揮させるための鍵を見出した。その新たな手法を用いて得られた結果を以下に述べる: 1.連続時間の偏相関関数。鏡映正値的定常過程を考え、その偏相関関数を次の3つを用いて性徴付けた:(a)De Branges関数が満たす積分方程式、(b)innovationの増分の相関、(c)予測誤差の相関。また、偏相関関数、平均二乗予測誤差、Hitsudaの標準表現に現れるVolterra核の簡明かつ興味深い表現を得た。これらの表現は、(b)、(c)の特徴付けに用いる等式の証明や、予測誤差、偏相関関数の漸近解析を容易にした。なお、innovationの時間発展を支配する方程式(a)は、Szegoの直交多項式が満たす漸化式の類似である。 2.偏相関関数の表現定理とその応用:井上昭彦助教授(北大理)との共同研究。1で得られた方法を離散時間の定常過程に適用することにより、MA、AR係数を用いた偏相関関数の簡明な表現定理を得た。更に、この表現定理を代表的な長期記憶モデルであるfractional ARIMA過程に適用して、その偏相関関数の誤差評価付きの漸近公式を証明した。
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