2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠原 雪夫 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 定常過程 / 予測 / 長期記憶 / 標準表現 / 逆スペクトル問題 / 数理ファイナンス / 国際情報交換 / オーストラリア |
Research Abstract |
1.定常Gauss過程の標準表現。Kreinの逆スペクトル問題の理論を応用して、実軸上の重み付きL^2空間に対するSzegoの直交多項式の類似(連続版)が一般的な形で得られた。その結果、定常過程、及び、定常増分過程に対する「有限の過去に関わる標準表現」の問題が解明され、特に、その連続重複度(飛田の意味)は高々1であることが分かった。 2.逆スペクトル問題。鏡映正値的定常過程は無限の過去に関するAR、MA表現を持つ。昨年度の研究で、有限の過去に関わる新生過程の(無限AR、MA核を用いた)有限AR表現を求めたが、上記1により、それがSzegoの直交多項式の類似の表現であることが分かった。その結果、スペクトル関数に対応するstringのAR、MA核を用いた単純な表現が得られた。特に、ここに至る議論は逆スペクトル問題の新しい解法を与える。 3.数理ファイナンス:Anh(クィーンズランド工大)-井上(北大理)との共同研究。Anh-井上モデル(遅れのあるBlack-Scholesモデル)は、その内部に、上記2の定常過程に似た定常増分過程を持つ。昨年度の研究で得た方法を適用することにより、価格過程の有限の過去に付随する新生過程の有限AR表現を求め、それを資産運用の最適化問題に応用した。 4.有限予測係数の応用:井上(北大理)との共同研究。昨年度の研究では、定常時系列に対する有限予測係数の(無限AR、MA係数を用いた)表現を証明した。それを応用して、予測係数の漸近公式、及び、Baxterの不等式を証明した。その不等式は、有限予測子の漸近挙動に関係があるが、長期記憶を持つ場合に証明されたのは、これが初めてである。
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Research Products
(1 results)