2004 Fiscal Year Annual Research Report
サクラマスの性フェロモンの解明とサケ科魚類用フェロモントラップの試作
Project/Area Number |
02J07240
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山家 秀信 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 性フェロモン / サケ科魚類 / サクラマス / 繁殖行動 / 興奮と誘引 / HPLC / フェロモントラップ / 嗅覚応答 |
Research Abstract |
昨年同定された排卵雌尿中の性フェロモンについて精査を行った。フェロモン前駆体であるアミノ酸、フェロモンD型遊離体、フェロモンL型遊離体、フェロモンL型硫酸塩に対する成熟雄の行動反応を調べたところ、天然に存在するL型のみに強い活性があることが判った。また、排卵雌や未熟雄はいずれもフェロモンL型に対して興奮行動すら示さなかったことから、その行動反応は成熟雄特異的であることが示された。 Y字水路実験によるフェロモントラップの基礎実験を行ったところ、実験回数や季節的な問題により十分な成果を得られなかったが、フェロモンに反応して誘引される傾向が示された。今後、水路の改良や相乗効果を生み出す成分を検索する必要がある。 HPLCによりフェロモンを定量すると、排卵雌尿中に約10^<-4>M程度含まれ、未熟雌雄、成熟オス尿に比べて50-110倍の濃度であり、先人によりフェロモン候補として注目されていた卵巣腔液には殆ど含まれなかった。 電気生理学的手法によってフェロモンL型に対する嗅覚反応閾値を調べたところ、排精雄で10^<-14〜15>M、未熟雄で10^<-11〜14>M、精巣退行雄で10^<-10〜11>M、排卵雌で10^<-9〜10>Mとなり、嗅覚レベルにおいてもフェロモン応答は成熟雄特異的であることが示された。なお、フェロモンD型に対する排精雄の嗅覚応答はL型に比べて1-2割程度であった。 排卵雌尿のプライマー効果(排精促進)を検討したところ、排精雄の精液量が増加することが認められた。しかし、今回同定された誘引フェロモン物質には、その効果は認められなかった。従って、新たなプライマーフェロモン物質の存在が示唆される。
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Research Products
(1 results)