2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秦 勝志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カルパイン / 胃 / 遺伝子変異マウス / カルシウム |
Research Abstract |
カルパインは特定の基質を限定分解し、その機能を制御・修飾することで様々な細胞機能に関与するカルシウム依存性システインプロテアーゼで組織普遍的あるいは特異的に発現する分子種が哺乳類で14種類同定されている。カルパインの活性不全が筋ジストロフィー症、アルツハイマー病、糖尿病など種々の病態に関与することから、その生理機能は非常に重要であると考えられている。本研究では、胃特異的に発現する二種類のカルパイン(nCL-2及びnCL-2')に着目し、本年度は、nCL-2及びnCL-2'遺伝子変異マウスの解析を中心に研究を行った。 nCL-2とnCL-2'は同一遺伝子(Capn8)にコードされているsplicing variantである。Capn8 exon3上にコードされている活性中心CysがSerに変異するようtargeting vectorを構築し、Capn8(CS)ノックインマウスを作製した。ホモマウスは出生後、野生型と同様生育し、生殖可能であった。Northern解析、Western解析の結果、相同組換えのマーカーとしてintron2に挿入したneo遺伝子の影響により、ホモマウスでは、ほぼnull mutantと同様で、わずかにnCL-2(CS)が発現するのみであった。nCL-2'については野生型マウスでも蛋白質の発現が見られなかったことから、Capn8遺伝子産物はnCL-2のみであることが明らかとなった。通常の飼育条件における、野生型及びホモマウスの胃の組織学的比較解析を行ったところ、両者に顕著な差異(nCL-2が局在する胃粘膜上皮層の上層粘液細胞の層肥大など)は観察されなかった。この結果は、胃の粘膜上皮で起こる細胞移動、接着、また細胞の極性において、通常(低または無ストレス)条件ではnCL-2が機能していない可能性を示唆することから、今後、様々なストレス条件下での飼育による影響について検討を重ねる予定である。
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Research Products
(1 results)