2002 Fiscal Year Annual Research Report
機能性化学モデルを用いたP450活性中間体の動的解析
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02J07257
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 紀行 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヘム-チオレート / P450 / 酸素活性化 / 酸化反応 / 酸化活性種 |
Research Abstract |
筆者は、シトクロムP450の活性中心モデルであるSR錯体の様々な誘導体をデザイン・合成し、錯体の構造や物性、酸化活性等への効果を検討し、さらにはP450の強力な酸化活性の本体である活性種の構造を明らかにすることを目的として研究を行ってきた。 従来、活性種の構造の決定は、極低温下など反応性を抑えた条件下で中間体を調製し、その分光学的性質を検討することにより行ってきた。しかし筆者は、真の反応中間体を明らかにするには、基質共存下で実際に触媒的酸化反応を行い、その解析を行うことが不可欠であると考え、研究計画に基づき中間体の反応選択性・反応様式等の動的解析から中間体の構造を決定する手法を新たに試みた。そのために、種々の置換基を有する過安息香酸類を酸化反応の酸素供与体として多数合成した。そしてその過安息香酸類を用い、SR錯体を触媒として実際に酸化反応を行い、その反応選択性・反応様式等への過安息香酸類の置換基効果を検討した。SR錯体の触媒する酸化反応は他の鉄ポルフィリン類に較べ非常に速く、その解析は困難であるが、筆者は酸化反応に基質として様々な化合物を用い、その競争的酸化反応を解析することによりその困難を克服した。 以上の反応解析の結果、ヘム-チオレートによる基質酸化は、用いる酸素供与体に依存する過程であることが明らかとなり、反応の過程で酸素供与体と酸化基質との間に明確な相互作用が認められた。これは、従来信じられてきた鉄オキソ中間体を活性種とする機構では説明が出来ず、ここからヘム-チオレート錯体では初めて、酸化反応への鉄-acylperoxy中間体の関与が示された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Noriyuki Suzuki: "Novel Iron Porphyrin-alkanethiolate Complex with Intramolecular NH…S Hydrogen Bond : Synthesis, Spectroscopy and Reactivity"Journal of the American Chemical Society. 121. 11571-11572 (1999)
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[Publications] Noriyuki Suzuki: "First Synthetic NO-heme-thiolate Complex Relevant to Nitric Oxide Synthase and Cytochrome P45Onor"Journal of the American Chemical Society. 122. 12059-12060 (2000)
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[Publications] Noriyuki Suzuki: "Multiple Active Intermediates in Oxidation Reaction Catalyzed by Synthetic Heme-thiolate Complex Relevant to Cytochrome P450"Journal of the American Chemical Society. 124. 9622-9628 (2002)