2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 雅晴 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | キラルジルコニウム錯体 / ビナフトール誘導体 / ゼオライト / 不斉合成 / Mannich型反応 / 不斉触媒 / マイクロリアクター / アルキル化反応 |
Research Abstract |
不斉触媒の中には高活性で目的の反応を高選択的に行えるものも存在するが、高活性であるが故に酸素、水、光、熱などの外的要因に不安定なものも多い。したがって、不斉触媒の大半は安定な前駆体から使用直前に調製する必要があり、触媒の安定性、回収・再使用、長期保存といった触媒の機能面まで満たす不斉触媒は極めて希である。筆者は、従来まで実現が困難であった触媒の保存や回収・再使用といった新たな機能を付加した不斉触媒の創製を目指し、当研究室で開発したキラルジルコニウム触媒を用いるMannich型反応において種々の条件を検討したところ、保持剤としてゼオライトを用いることにより新たな可能性を示すことができた。この際、キラルジルコニウム触媒はゼオライトとの静電的な相互作用により安定化されていること、空気中で取り扱うことができ長期保存も可能となること、反応終了後に触媒の回収・再使用が可能であることなどを見い出した。 一方、今後新規なナノ不斉触媒を創製するにあたり、微小空間内での分子の挙動をより包括的にとらえることが重要である。そこでマイクロチップを反応場とする有機合成の検討を行った。 マイクロチャネル内に有機相と水相を導入して油水界面を形成させた場合、その液-液界面の比界面積はかく拌などの機械的な操作なしでも、フラスコ中における超高速かく拌に相当する比界面積を実現できる。今回筆者は、4級アンモニウム塩を相関移動触媒として用いるβ-ケトエスチルのアルキル化反応において、マイクロリアクター中で反応を行うと、バッチ中での反応に比べて反応性が大きく向上することを見出した。またマイクロチャネルの幅を変えた検討や光学顕微鏡による観察から、マイクロリアクター中ではバッチ中で高速かく拌した場合と比べより微小な液滴粒子が形成され、比界面積が増大したため反応性が向上したことが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masaharu Ueno: "Air-Stable, Storable, and Highly Selective Chiral Lewis Acid Catalyst"Organic Letters. 4. 3395-3397 (2002)
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[Publications] Shu Kobayashi: "Catalytic Enantioselective Addition of Propionate Units to Imines : An Efficient Synthesis of anti-α-Methyl-β-Amino Acid Derivatives"Chemistry A European Journal. 8. 4185-4190 (2002)
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[Publications] Yasuhiro Yamashita: "Catalytic asymmetric Mannich-type reactions using a novel chiral iron complex"Advanced Synthesis & Catalysist. 344. 929-931 (2002)