2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 雅晴 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手
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Keywords | ゼオライト / 不斉空間 / 壁面修飾 / マイクロ化学プロセス / 機能性微小空間 |
Research Abstract |
新規なナノ不斉触媒を創成するに当たり、微小空間内での分子の挙動をより包括的に捉えることが重要である。そこで、マイクロチップを反応場とする有機合成の検討をおこなった。さらにこのマイクロチップ内にメソ孔を持つゼオライトを構築し、厳密なメソ空間を持つ新規微小空間を創成した。さらに、微小空間では体積に対する壁面の面積比が大きくなるため、壁面修飾により触媒を効果的に固定化する方法を開発した。に具体的には以下のことを行った。 (1)マイクロチップを用いたβ-ケトエステルのアルキル化を行った。 マイクロチャネル内に有機相と水相を導入して4級アンモニウム塩を相関移動触媒として用いるβ-ケトエステルのアルキル化において、マイクロチャネル中で反応を行うと、バッチ中で反応を行うのに比べて、反応性が大きく向上することを見いだした。 (2)マイクロチップ内にメソ孔を持つゼオライトを作成した。 ゼオライトの細孔を利用して空間選択的な反応を行う例は報告例があるが、ゼオライト粒子表面でも反応が進行することが予想されるため、完全な選択性制御は困難である。そこで、ゼオライト粒子の大きさに相当する1μm程度の幅、深さを持つマイクロチャネル内に、ゼオライトを合成した。この際、ゼオライトの孔の方向をチャネルの方向に揃える工夫を施し、ボトムアップテクノロジーによりメソ孔を持つチャネルをマイクロチャネル内に組み込む手法を開発した。 (3)新規化学機能微小空間の創成とマイクロチップ内合成反応の開発を行った。 マイクロチャネル内壁にフッ素コーティングを施し、これまでに開発した触媒にフッ素系側鎖を導入することで、合成触媒の可逆固定が可能な新規化学機能微小空間を創成した。この空間内では、通常のバルク反応では得られない目的物が直接得られ、その反応効率も高いことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Ueno et al.: "Phase-transfer Alkylation Reactions Using Microreactors"Chemical Communications. 936-937 (2003)
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[Publications] 北森武彦, 上野雅晴: "マイクロ空間を利用した化学-微小にするメリットとは?"化学. 59(2). 66-67 (2004)