2002 Fiscal Year Annual Research Report
将来にわたる確実な安全性を保証可能な電子決済方式の実現方法に関する研究
Project/Area Number |
02J07343
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花岡 悟一郎 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 暗号 / 認証 / 匿名性 / 長期的安全性 |
Research Abstract |
本研究においては、長期的な信頼性を提供可能な電子決済システムの実現のための要素技術として、いかなる計算量的な仮定も必要としない暗号技術の開発に取り組んでいる。本年度においては、特に、電子決済において重要な要件である利用者の匿名性について研究を行った。まず、計算量的な仮定を必要とせず、なおかつ、送信者の匿名性を保証可能な暗号方式のモデルを定式化し、そこから暗号文や利用者のもつべき秘密情報に必要となる記憶容量の下界を導き出した。さらに、必要となる記憶容量がこれらの下界と一致するような具体的な暗号方式の構成方法を明らかにした。これにより、この方式が記憶容量に関して最適であることが言えるとともに、先に示された記憶容量の下界がいずれも厳密なものであることが示された。この暗号方式は多項式に基づいた構成となっているが、本研究ではさらに、組み合わせ理論に基づいた構成方法も示している。こちらの手法を用いた場合、平文空間のサイズについての制約がないため、多項式に基づいた方式に比べ、より柔軟な設計が可能となる。ただし、組み合わせ理論に基づいた方式に必要な記憶容量は必ずしも最適ではないことに注意しなければならない。また、これに加え、さらに高い安全性の概念である。頑強性についても検討を行っている。頑強性とは、平文に対して攻撃者が意図した操作が加わるように暗号文を改変することが不可能であるような性質をいう。上記の提案方式はいずれも頑強性を満たさないが、簡単な変形により頑強性を付加することができる。これらの研究の他、いかなる計算量的な仮定も必要とせず、なおかつ、送信者の匿名性を保証可能な認証方式についても提案を行っている。これらの研究は、暗号研究分野において最も権威ある国際会議であるASIACRYPTなどで発表を行っている。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] G.Hanaoka, J.Shikata, Y.Hanaoka, H.Imai: "Unconditionally Secure Anonymous Encryption and Group Authentication"Lecture Notes in Computer Science. 2501. 81-99 (2002)
-
[Publications] J.Shikata, G.Hanaoka, Y.Zheng, H.Imai: "Security Notions for Unconditionally Secure Signature Schemes"Lecture Notes in Computer Science. 2332. 434-449 (2002)
-
[Publications] Y.Hanaoka, G.Hanaoka, J.Shikata, H.Imai: "Unconditionally Secure Key Insulated Cryptosystems : Models, Bounds and Constructions"Lecture Notes in Computer Science. 2513. 85-96 (2002)
-
[Publications] S.Yonezawa, G.Hanaoka, J.Shikata, H.Imai: "Traceability Schemes for Signed Documents"Lecture Notes in Computer Science. 2433. 257-271 (2002)