2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07349
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 哲雄 東京大学, 史料編さん所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 鎌倉 / 都市 / 北条氏 / 御家人 / 守護 |
Research Abstract |
本年度公表した研究論文は下記の1点である。 「鎌倉期播磨国の守護・国衙・悪党」(『兵庫大学附属研究所報』7号、2003年) 本論文では、鎌倉時代にモンゴル軍の襲来に対する防御の拠点として意識された播磨国を素材に、既存の国衙勢力による検断権と鎌倉幕府によって新たに設定された守護による検断権との関係、さらには全国的に見られる悪党による活動を検討した。その結果、これまでの播磨守護の沿革を部分的に修正し、当該期における守護および北条氏勢力が播磨に浸透し、国衙勢力を漸次駆逐していったことを見出した。また、著名な播磨の悪党が史料上に登場する背景には、守護あるいはその名代の現地赴任や、東国武士の移住の影響が考えられ、鎌倉時代前期に荘園を侵略することで頻繁に訴えられていたような「守護使」の事例が減少すると、鎌倉時代後期には荘園において悪党行為が増加する傾向を指摘し、「守護使」と「悪党」との連続性を想定した。以上のことによって、鎌倉期の守護と国衙との関係、悪党の登場を論じた。 このほかに今年度は、歴史学研究会日本中世史部会9月例会において「都市鎌倉の東国御家人」(要旨は『歴史学研究会月報』531号、2004年3月に掲載)と題した報告を行い、東国御家人が鎌倉には定住せず、幕府儀礼に参加するなどの要因がなければ本貫地や所領との間を往反していたことなどを指摘した。現在は同報告をまとめた論文を執筆中である。また、「鎌倉期の長門守護と『長門国守護職次第』」と題した論文も同時に執筆中であり、来年度中の公表を目指している。
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Research Products
(1 results)