2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物培養細胞におけるAl障害メカニズムおよびアポトーシスの解析
Project/Area Number |
02J07354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯倉 寛 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タバコ培養細胞 / Al / plastid / アポトーシス / Cd / アネキシンV / SEM-EDS |
Research Abstract |
タバコ培養細胞(BY-2)を用いて細胞レベルでのAl障害機構を解析するために、様々な条件下でAl処理を行いAl処理細胞をサンプリングし、(1)特異的Al吸着の認められた粒子(Plastid)の解析(2)アポトーシス誘導条件の解析を行った。また、Alと同様に土壌有害重金属であるCdにも着目し、(3)Cd障害応答とAl障害応答との差異から新たなAl障害メカニズムの解析を試みた。 (1)培養細胞において確立した同一細胞染色法によって、一つの細胞を経時的に観察することが可能となり、Al処理後の細胞応答を動画として取得することができた。これにより、細胞内顆粒数がAl処理により減少する様相・時間的変化について詳細な解析が可能となり、あらたな知見が得られている。また、顆粒へのAl吸着が顆粒内蓄積型か顆粒表面吸着型かを判別するために、細胞の凍結乾燥を行い薄膜切片を作成し、SEM-EDSにより数マイクロの解像度でのAl局在様式を解析している。 (2)植物におけるアポトーシス様現象は未だ不明な部分が多い。一つのメカニズムとして、動物では細胞膜のフリップフロップが生じることが報告されている。Alは細胞の膜に作用する傾向が大きいため、植物でもフリップフロップを伴うアポトーシス様機構が働いていると考え、その検出を試みている。具体的にはアネキシンVを用いた蛍光検出の系を構築し、Al処理・およびアポトーシス誘導試薬における蛍光観察を行っている。 (3)土壌が酸化することによる植物根の障害はAlに寄るところが大きいが、Cd障害も一つの障害として現れる。しかしながら同じカチオンでも元素の特性は大きく異なり、Alは植物内移行性が小さいがCdは非常に大きいことなどが挙げられる。Al処理で現れる現象をCd障害で現れる現象と比較考察することにより、新たなAl特異的障害機構についての知見を得ようとした。今までAl処理細胞に行ってきた解析手法(FDA-PI染色、過酸化定量、DNA断片化検出など)をCd処理細胞にも同様に施し、2つの障害機構の差異について検討している。またAl処理により変動する細胞内他元素の動態はこれまで解析してきたので、同様にCd処理による他元素濃度への影響について解析した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiroshi Iikura et al.: "CADMIUM EFFECT ON AN ELEMENTAL PROFILE IN THE EDIBLE PART OF SOYBEAN PLANTS REVEALED BY INAA."J.Radioanal.Nucl.Chem.. In press. (2004)
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[Publications] T.Ohya, H.Iikura, et al.: "A STUDY OF ^<109>CD UPTAKE AND TRANSLOCATION MANNER IN A SOYBEAN PLANT UNDER DIFFERENT PH CONDITIONS"J.Radioanal.Nucl.Chem.. in press. (2004)