2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07437
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 等 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 肝細胞 / 分化 / アミノペプチダーゼN / MRP2 / リソソーム分解 |
Research Abstract |
私はアミノペプチダーゼN(APN)が肝細胞分化に与える影響を明らかにするため、昨年度に構築した初代胎生肝細胞培養系を用いてAPNの機能解析を行った。この培養系の毛細胆管様構造にはDPPIV、MRP2、APNといった毛細胆管膜マーカーが局在しており、さらにMRP2の蛍光基質が蓄積することから、機能的毛細胆管膜が再現されていることがわかる。 この培養系において、APN中和抗体(MY7)やRNA干渉によってAPN活性を阻害すると、蛍光MRP2基質の蓄積する毛細胆管が有意に減少した。いくつかの極性分子の局在を調べた結果、MRP2の局在が消失していることがわかった。ZO-1、DPPIV、MRP1の局在は正常なことから構造的には極性ができているといえる。さらに、イムノブロットの結果からMRP2タンパク質が消失していることがわかった。一方、MRP2 mRNA量は逆に増加していた。MRP2は通常、リソソームに輸送されて分解されているが、APN活性の阻害によるMRP2タンパク質局在、機能、量の消失はプロテアソーム阻害剤ではなく、リソソーム阻害剤によって打ち消された。 APN活性阻害によるMRP2の局在および機能消失をin vivoで確認するため、妊娠マウスにMY7を注射し、その仔の肝臓と血漿を調べた。その結果、肝臓のMRP2の局在が消失し、MRP2の生理的基質であるビリルビンが、血漿中に異常蓄積しているのがわかった。 これらの結果から、毛細胆管膜形成過程において、APNはMRP2タンパク質のリソソームでの分解を抑制して、MRP2を毛細胆管膜上へ局在させていると考えられる。
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