2004 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物オルガネラ分裂機構の解明とオルガネラ形質転換への応用
Project/Area Number |
02J07454
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有村 慎一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリア分裂 / ミトコンドリア融合 / ミトコンドリアゲノム |
Research Abstract |
ミトコンドリアは高等植物においても、エネルギー生産と物質代謝の両面において重要な役割を担っている。細胞分裂、細胞増殖において、ミトコンドリアの数、量の維持と分配は必須の過程であるが、これらに関する研究は十分になされていなかった。私はまず、酵母で同定されているミトコンドリア分裂、融合、分配関連の遺伝子群を参考に、植物におけるホモログ群を逆遺伝学的手法でリストアップし、機能同定を試みた。しかしながらホモログとして単離できた遺伝子は酵母の半分以下であり、酵母の知見をそのまま得られないことが明らかになった.しかしながらいくつかのホモログにおいてはよミトコンドリア分裂への関与を明らかにした.また、植物独自の遺伝子群の存在の可能性を考慮し、ミトコンドリア形態変異植物体のスクリーニングを行い、20系統以上の変異体を同定し、一部の突然変異体のラフマッピングを行った。 高等植物ではミトコンドリアの融合は、現象自体がきちんと確認されておらず、これを検証した。これには、最近発表されたばかりの色可変型の蛍光たんぱく質"Kaede"を用いた。この成果はKaedeの応用研究への世界初の報告になった。その結果、一細胞内の数千のミトコンドリアは頻繁に融合した。 また、植物細胞内のミトコンドリアとミトコンドリアゲノムを生きたままの時間変化を観察する方法を確立した。思いがけないことに、すべてのミトコンドリアはゲノムを持っているとは限らないことが判明した。このようなゲノム保持量の不均一性があっても、先述したミトコンドリアの頻繁な融合によって、植物ミトコンドリアはひとつの細胞内でひとつの単位として存在している可能性が考えられた。 最終年度途中に就職したこともあり、高等植物オルガネラの形質転換までは手を出せなかったが、その前半の基礎的部分については当初予想以上の成果を挙げることができた。
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Research Products
(4 results)