2002 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋と周辺海域における鯨類の摂餌生態に関する研究
Project/Area Number |
02J07524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大泉 宏 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 鯨類 / 食性 / 胃内容物 / 耳石 / 代謝 / カロリー / 呼吸 / 海洋生態系 |
Research Abstract |
小型歯鯨類の食性研究のため胃内容物調査を行い、ツチクジラ合計32頭、マゴンドウ4頭、ハナゴンドウ11頭、ハンドウイルカ5頭、マダライルカ3頭、スジイルカ1頭、イシイルカ43頭の胃内容物標本採集を行った。この他タッパナガ22頭の胃内容物記録を行った。江ノ島水族館と共同でカマイルカの代謝および餌消費量実験を行なった。得られた標本については現在分析中であるが、イシイルカとタッパナガはそれぞれトドハダカとスルメイカを多く捕食していることが示された。カマイルカの実験では、約5800-9100kcal/dayの酸素消費率が示された。また、鯨類の餌14種について熱量分析を行った。中層性魚類耳石80種についてデジタル画像化を行った。胃内容物標本採集は平成11年度から継続して行ってきており、情報の蓄積が進んできたところである。これまでの調査でツチクジラの調査頭数は67頭になり、この他にも多くの鯨種について胃内容物標本が入手されるようになった。解析はまだ途上の部分が多いが、今後の進展が期待できる。技術開発的要素として行ってきた魚類耳石の形態に関する研究は、日本周辺のハダカイワシ類主要36種に加え、東北沿岸で定置網や着底トロール漁獲される魚類、三陸沖合城で中層トロールにより採集されたハダカイワシ類以外の中層性魚類80種の採集を行い、デジタル画像化した。さらなる種数の充実化やデータベース化は今後の作業である。また、海洋生態系におげるエネルギーフローの研究の基礎情報とするため、餌生物中の熱量を分析した。種類はタラ類を中心としたもので、主にツチクジラの餌を想定しているが、これも今後標本入手の機会があれば種類を充実化させていく。カマイルカを用いた代謝実験は予備的実験が終了し、研究用データが取れ始めたところである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Ohizumi, T.Isoda, T.Kishiro, H.Kato: "Feeding habits of Baird's beaked whale, Berardius bairdii, in the western North Pacific and Sea of Okhotsk off Japan"Fisheries Science. 69・1. 11-20 (2003)
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[Publications] H.Ohizumi, T.Kishiro: "Stomach contents of a Cuvier's beaked whale (Ziphius cavirostris) stranded on the central Pacific coast of Japan"Aquatic Mammals. (in press).
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[Publications] H.Ohizumi, T.Kuramochi, T.Kubodera, M.Yoshioka, N.Miyazaki: "Feeding habits of Dall's porpoises (Phocoenoides dalli) in the subarctic North Pacific and the Bering Sea basin and the impact of predation on mesopelagic micronekton"Deep Sea Research part I.. (in press).
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[Publications] 大泉 宏: "イルカ・クジラ学(第5章 鯨類が海洋生態系で果たす役割の謎に挑む-摂餌生態-)"東海大学出版会. 265 (2002)