2002 Fiscal Year Annual Research Report
国際交渉におけるイシューリンケージの可能性と影響について
Project/Area Number |
02J07550
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 一敏 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 通商政策 / 日米関係 / 国際交渉 |
Research Abstract |
国際交渉でイシュー領域間のリンケージが行われる場合の国内集団の選考や行動、交渉の過程や結果について、先行研究の成果と、そこで用いられている概念を整理した。そこから、国内における分野間調整と国際交渉の力学に関する仮説を立てた。また、このことが国際政治学・国際交渉分析の最近の傾向(イシュー構造モデル、国内政治重視)の中で更に重要性を増していることを示した。 この理論的な仮説を検証する上で必要とされる事例研究を行うため、1989年後半から1990年代初頭にかけての日米交渉(特に日米構造協議)に関する資料収集を行った。イシューのパッケージング(独立変数)が交渉の過程や結果(従属変数)に及ぼす影響を調査するために、交渉の際のパッケージング(アジェンダと取扱い時期など)の特定、および交渉結果の変遷(時期毎の合意文書、覚え書き等)の収集を目指した。 アメリカ商務省、ジョージブッシュ大統領図書館等での資料収集の結果、アメリカ側交渉担当者の行動について、具体的に以下のようなことが分かった。(1)1989年の日米構造協議開始直前から、92年に2度目の年次報告が出されるまでの間について、アジェンダに含まれていた内容とその変遷。(2)アメリカ政府内部の連絡・会議が行われていた時期、頻度、内容。 また、日本政府が公開した資料から、アジェンダに含まれる要求事項に対する日本側の返答の一部が明らかとなった。 申請した情報公開の多くがいまだに処理待ちであるため、結果の変遷に関しては全てが明らかになったわけではないが、アジェンダやアメリカ政府内部での調整頻度、初期の日本政府の対応等が今回明らかとなった。
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