2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルカン資化性酵母におけるアルカン誘導型P450遺伝子の発現制御機構の解析
Project/Area Number |
02J07580
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山神 摂 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アルカン資化性酵母 / Yarrowia lipolytica / アルカン / チトクロームP450 / 発現制御 / 転写因子 |
Research Abstract |
酵母Yarrowia lipoliticaはアルカンという非常に疎水性の高い物質を資化し、産業上も重要な菌である。アルカン存在時にはアルカンの資化に関わる遺伝子の発現が強く誘導されるが、アルカンの存在を感知して遺伝子の発現に至るまでの機構に関しては知見が乏しい。本研究は、アルカンによる遺伝子発現の制御機構の解明を目的としている。 アルカンに応答して転写を誘導する活性を有するDNA配列(ARE1)のアルカンによる活性化を、レポーター遺伝子の発現を指標にアッセイする系を前年度までに構築した。この系を用いて、アルカン存在時のARE1の活性化が見られない変異株を一株取得した。その変異株において、アルカン依存的な遺伝子の転写誘導が見られないが、脂肪酸による転写誘導には欠損がないことを確認した。この変異株はアルカンの感知から転写誘導に至るまでの過程に変異を有すると考えられ、解析を行った結果、変異を相補する遺伝子YAS1を同定した。その成果について、酵母遺伝学フォーラム(2003年7月)において口頭発表した。さらに、YAS1遺伝子産物の推定アミノ酸配列には、bHLH型転写因子に見られるbHLHモチーフが見出された。また、タグを付加したタンパク質Yas1p-HAの核への蓄積、及びARE1を持ちアルカン資化に関わる遺伝子プロモーターへの結合が確認された。これらの結果はYAS1遺伝子産物がアルカン応答に関わる転写因子であることを示唆しており、その成果を論文にまとめ、現在投稿中である。
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