2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07587
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
加地 友弘 国立感染症研究所, 免疫部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 経口免疫寛容 / プロテオーム / アポトーシス / caspase / プロテオリシス / bcl-xL / T細胞 / Fas |
Research Abstract |
経口的に摂取した抗原に対して免疫系が不応答化する経口免疫寛容では、末梢のT細胞が不応答化しているが、その不応答化したT細胞の性質を決定するような因子は不明である。そこで本研究では、免疫不応答化したCD4陽性T細胞をプロテオーム解析することにより、その細胞の特性を明らかにしようと試み、これまでに、経口免疫寛容状態のCD4 T細胞は非アポトーシス状態を保ったままcaspase-3の活性を上昇させ、TCRシグナル複合体を含む様々なタンパク質を切断し、不応答状態を維持していることを明らかにした。 これまでに,内在性のcaspase-3抑制分子であるXIAPの発現上昇が、経口免疫寛容状態のCD4 T細胞を非アポトーシス状態に保つ一因であることを明らかにしたが、加えてbcl-xLのタンパク質量も増加していることを明らかにし、caspaseによるアポトーシスを阻害していることが示唆された。 また、caspase-3の上流分子として、Fasレセプターのシグナル伝達分子であるcaspase-8およびミトコンドリアからのアポトーシスシグナル伝達分子であるcaspase-9の活性化をウェスタンプロットを用いて検討したところ、caspase-9のプロセッシングのみが確認された。また、in vitro培養においてFas抗体によるアポトーシス誘導を対照T細胞、経口免疫寛容T細胞で行ったところ、差が認められなかったことから、経口免疫寛容T細胞では抗アポトーシス因子の発現上昇が、caspase-3の活性化にも関わらず、Fas刺激に対する感受性を高めていないことが示唆される。以上より、経口免疫寛容状態のT細胞では、ミトコンドリアにかかるストレスによってcaspaseが活性化されているが、bcl-xLやXIAPといった抗アポトーシス分子の発現を増加させることによってアポトーシスを阻害していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tomohiro Kaji, Satoshi Hachimura, Wataru Ise, Shuichi Kaminogawa: "Proteome analysis reveals caspase activation in hyporesponsive CD4 T lymphocytes induced in vivo by the oral administration of antigen."The Journal of Biological Chemistry. 278. 27836-27843 (2003)
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[Publications] Tomohiro Kaji, Satoshi Hachimura, Shuichi Kaminogawa: "Proteome database of unsensitized CD4 T lymphocytes in T cell receptor transgenic mice."Electrophoresis. 24. 3433-3444 (2003)