2002 Fiscal Year Annual Research Report
生ゴミ分解処理過程における複雑微生物系の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
02J07604
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 浩平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機性廃棄物 / 微生物群集 / 微生物生態学 / PCR-DGGE / リアルタイムPCR / キノンプロファイル / CLPP / 優占種 |
Research Abstract |
生ゴミ分解処理過程に再現的に出現するBacillus属の菌株BLxを単離した。BLxと高い相同性を持つ配列が他の有機性廃棄物処理過程からも検出されており、BLxは生ゴミ分解処理物中全菌数の30%を占めていた。有機物分解過程にBLxは一般的に存在し、何らかの役割を担っていると考えられるが、分解過程におけるその機能は未知である。本研究では生ゴミ分解処理過程における微生物群集の構造を解析し、BLxを一例として群集中における微生物機能の解明を試みる。 1.BLxの諸性質の検討 菌学的諸性質から生ゴミ分解処理過程におけるBLxの機能に関する知見を得た。BLxの低分子炭水化物の資化能は非常に限られていた。また、高分子生体物質の分解能も限られており、ゼラチン分解能を有していたが、セルロース、澱粉やカゼインを分解できなかった。BLxは分解処理過程においてある段階で急激に増殖していることから、何らかを資化しているはずである。現在BLxの増加に伴い、変化するパラメーターを解析し、BLxの生ゴミ分解過程における機能の解明を試みている。 2.BLxの分布 BLxに相同性を示す遺伝子配列が他の有機性廃棄物処理過程から検出されている。様々な有機性廃棄物処理過程からサンプリングを行い、リアルタイムPCRを用いたBLxの検出・定量を行った。東京都内各地の家庭用生ゴミ処理装置を含む有機性固形廃棄物処理過程から処理物を採取し、処理物の性状(温度、pH、塩濃度等)を調べ、BLxのリアルタイムPCRによるBLxの定量値との相関を調べた。その結果、BLxは500℃以上でかつアルカリの処理物に存在することが明らかになったこれはBLxの生育至適pHならびに温度に一致した。 3.BAGECOでの参加発表 微生物生態学研究とバイオインダストリーの国際学会BAGECOに参加し、発表を行った。各国の微生物生態学研究者と討論を行い、今後の研究の進展に拘わる多くの知見を得た。
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