2002 Fiscal Year Annual Research Report
憲政実施と言論政策-戦後中国(1945〜1949年)の自由と秩序
Project/Area Number |
02J07625
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 元哉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中国 / 国民党 / 国民政府 / 憲政 / 言論 / 報道 |
Research Abstract |
今年度は、抗日戦争後期から戦後前期にかけての言論政策を当該時期の国際政治と関連させて分析し、併せて戦後言論界の実態について考察した。これらの研究作業から得られた新たな知見は、次のとおりである。 1、1943年秋以降、国民党政権は戦後の憲政実施を展望し、戦時言論統制の解除へと主体的に取り組み始めた。その背景には、統制緩和を求める社会・思想界の圧力のみならず、当時の自由主義的な世界潮流とその潮流に乗じて戦後国家建設に取り組もうとした政策担当者の対外認識があった。具体的に述べれば、44年春以降アメリカを中心に国際報道自由運動が展開し、その運動の理念に共感した国民党の政策担当者(馬星野ら)が言論自由化を主張し、抗戦末期から戦後前期にかけて戦時言論統制政策を段階的に解除していった。 2、上述のような戦時言論統制政策の緩和をうけて、戦後言論界は先ず復興・発展段階へとむかった。この事実は、重慶・南京・上海・台北で収集した党・政府内部資料(統計)や非国民党系の新聞・雑誌の記述からも明らかであり、それらのデータによれば、47年後半が復興・発展段階のピークであったことがわかる。しかし、47年後半以降、戦後経済が崩壊し始めたこと、国共内戦の軍事情勢が悪化し始めたこと、国際社会で米ソ冷戦が決定的になったことにより、戦後言論政策は緩和から統制へと逆戻りし、48年以降、戦後言論界の活動が停滞することになった。
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Research Products
(2 results)