2002 Fiscal Year Annual Research Report
FT-ICRによるシリコンクラスターの化学反応と構造制御
Project/Area Number |
02J07658
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 修平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | FT-ICR / Chemical Reaction / Catalytic Metal / Alcohol / Cluster |
Research Abstract |
カーボンナノチューブは炭素原子の6員環と5員環で編まれたネットワーク構造をもち,単層のナノチューブ(SWNT : single-walled carbon nanotube)と,複数のチューブが入れ子状になった多層ナノチューブ(MWNT : multi-walled carbon nanotube)の2種類に分類される.カーボンナノチューブはその幾何学的構造に基づく,様々な物理・化学的性質から新しい材料としての応用が期待されており,ナノテクノロジーの代表的な新素材である.一方,SWNTsの大量生成に関してはCVD法やHiPco法による生成に期待が持たれており,本研究室でもアルコールを炭素供給源とした新合成法ACCVD法を確立している.しかしながらその成長過程に関しては不明な点が多く,高品質なSWNTsを生成するためには基礎的な研究が必要である.CVD法では触媒として遷移金属が広く用いられるが,鉄,コバルト,ニッケルなどの遷移金属は他の反応分野でも使われており,クラスターレベルでの研究も多く進められている.しかしながらサイズの大きなクラスターは生成自体が困難であり,世界中で行われている研究の多くが10量体以下の小さなクラスターに関する研究である.そこで本研究では,既存の研究より一回り大きなサイズであり,またACCVD法での実際の触媒サイズを念頭に置いた遷移金属クラスターとエタノールとの素反応について実験をおこない,その反応機構を探った. 遷移金属クラスター(Fe, Co, Ni)とエタノールの反応では,反応速度定数が定性的に同じ様相を示し,更に原子番号の順にシフトすることから価電子による影響が考えられる. コバルトクラスターとエタノールの同位体実験に成功し,脱水素反応で脱離する水素原子を特定できた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Kohno, S.Inoue, R.Kojima, S.Chiashi, S.Maruyama: "FT-ICR Studies of Laser Vaporized Clusters from Ni/Co and Ni/Y Loaded Graphite Samples."Physica B. 323. 272-274 (2002)
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[Publications] M.Kohno, S.Inoue, A.Yabe, S.Maruyama: "FT-ICR Studies of Precursor Clusters of Single Wall Carbon Nanotubes (SWNTs)."Micro. Thermophys. Eng.. 7-1. 33-39 (2003)