2002 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮村落社会における識字の社会史的研究:慶尚北道尚州地域を中心に
Project/Area Number |
02J07673
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板垣 竜太 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 朝鮮(韓国) / 識字 / 地域社会 / 地方エリート / 社会史 / 植民地 / 植民地 / 学校 |
Research Abstract |
1.韓国滞在中にデータベースに入力した植民地期の学籍簿・除籍簿を整理・分析し、その他の学校所蔵の資料や周辺資料と合わせて検討した。その結果、学校の設立過程における地方有志の役割、入学前の経歴の変化、学生の移動の様態、男女格差など、これまでの研究ではほとんど見えなかった実態を克明に明らかにすることができた。 2.植民地期の新聞資料や現地の資料を整理し、尚州における1920〜30年代の地方エリートの動向を分析した。「有志」とよばれる地方エリートの構成、伝統エリートと新たなエリートとの関係、教育運動の盛衰などを、都市化の動向と絡めて明らかにすることができた。 3.1930年代尚州農村の日記資料の分析に着手した。その内容の入力作業をおこなっただけでなく、その書き手の出身地を訪ねたり、関係者との面会をおこなったりしたほか、関連文献との照らし合わせ作業をおこなった。起床時間の分析、読書行為、医療行為、消費行動の分析や、「民族」「日本」をどうみていたかという認識の分析など、多様な方法を試みることにより、ミクロな視点からの新たな植民地社会像の提示に貢献した。 4.フィルムスキャナとDVD-Rにより、尚州での現地調査中に撮影した写真の整理に着手した。その結果、建築物の沿革等が記された懸板の解読が進んだほか、朝鮮時代から現在まで続く祭祀のプロセスが明確となるなど、文献資料だけに依存していては分かりづらい実態の解明が進んだ。 5.朝鮮研究、植民地研究、識字研究、資本主義研究等、関連分野の研究をサーベイし、尚州での経験をより広い脈絡から検討した。
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Research Products
(1 results)