2003 Fiscal Year Annual Research Report
近世近代移行期における都市空間および住宅の展開過程に関する研究
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02J07703
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松山 恵 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 近世近代移行期 / 江戸 / 東京 / 新開町 / 都市計画 / 民間活力 / 「郭内」 / 「郭外」 |
Research Abstract |
日本学術振興会特別研究員(DC2)として最終年度となる本年は、後掲の「研究発表」にあるように、4本の論文(うち、前から3本が査読付き論文となる)をまとめるなど、2年間の成果を公表(活字化)することに力を入れた。少々具体的に述べると、冒頭の2本(「新開町の誕生-近世近代移行期における江戸,東京の都市空間(その3)-」・「明治初年,民間拠出による都市改造の特質-近世近代移行期における江戸,東京の都市空間(その4)-」)では、おもに東京都公文書館所蔵の『東京府文書』の原文書(「府治類纂」・「順立帳」ほか)を用いながら、これまでほとんど解明されてこなかった明治初年の東京における都市改造・都市計画について、公権力側からのものとしてばかり捉えるのではなく、じつは非常に多かった民間による活動を拾い上げ、かつ、それらと公権力との関係を見極めることによって、当該期東京の、都市空間の計画性に関する指摘をおこなった。また、つづく「郭内」・「郭外」の設定経緯とその意義-近世近代移行期における江戸,東京の都市空間(その5)-」では、上掲の2本の成果を踏まえ〔具体的には民間による開発分布(「明治初年,民間拠出による都市改造の特質」)・強制移住させられていた場末町人地の分布(「新開町の誕生」)など〕、それらと、一方で着実に進んでいた、江戸がふたたび政権の所在として東京となる明治初年の政治過程との関わりを、空間的にはほぼ全て東京の7割を占めた武家地(跡地)で起きた問題として同じ土俵の上で総合的に捉えなおすことにより、近代初頭の東京、ひいては日本における都市空間と政治との密接な関連性を詳細に明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松山 恵: "新開町の誕生-近世近代移行期における江戸,東京の都市空間(その3)-"日本建築学会計画系論文集. 571号. 165-172 (2003)
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[Publications] 松山 恵: "明治初年,民間拠出による都市改造の特質-近世近代移行期における江戸,東京の都市空間(その4)-"日本建築学会計画系論文集. 576号. 215-222 (2004)
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[Publications] 松山 恵: "「郭内」・「郭外」の設定経緯とその意義-近世近代移行期における江戸,東京の都市空間(その5)-"日本建築学会計画系論文集. 580号(印刷中). (2004)
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[Publications] 松山 恵: "都市空間のなかの「宗教」-近世近代移行期における江戸,東京を素材に-"日本建築学会大会学術梗概集(東海). 463-464 (2003)