2003 Fiscal Year Annual Research Report
IP_3受容体サブタイプのカルシウム感受性調節部位の同定とその生理的意義
Project/Area Number |
02J07762
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水島 亜希子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | IP_3受容体 / カルシウム / カルシウム放出チャネル / deletion mutant / 分子生物学 |
Research Abstract |
カルシウムは遺伝子発現、筋肉の収縮、記憶、学習、免疫細胞の分化、細胞死など極めて多彩で重要な細胞機能を制御するシグナル分子である。カルシウムシグナル形成にはIP_3受容体が重要な役割を果たしている。IP_3受容体は小胞体膜上に存在するカルシウム放出チャネルの一つで、イノシトール三リン酸(IP_3)の結合により細胞内カルシウムストアからカルシウムを放出する。IP_3受容体のカルシウム放出活性は、IP_3だけでなくカルシウムによっても制御され、これまでの研究ですでにIP_3受容体のカルシウム感受に必須なアミノ酸部位を同定している。 IP_3受容体はN末端近くにIP_3結合部位を持ち、C末端近くに膜貫通部位とポアがある。カルシウムセンサー部位は膜貫通領域近くに位置する。そこで本研究では、感受性"調節"部位を同定するために、C末端側の膜貫通部位を残したままN末端側から削り込んだIP_3受容体のdeletion mutantを作製した。さらに作製したIP_3受容体deletion mutantを内在性IP_3受容体欠損型DT40細胞に導入し、抗体染色による発現確認およびM4刺激によるカルシウムシグナル消失の確認を終了した。 本年度はIP_3受容体のカルシウム感受性変異体であるE2100Aについても同様のdeletion mutantを作製し、抗体染色による発現確認およびM4刺激によるカルシウムシグナル消失の確認を終了した。野生型、E2100A変異体のdeletion mutantはいずれもM4刺激に対し応答せず、当初の目的通りIP_3結合能を消失した変異体を得ることに成功した。
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