2002 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ドットの形成・物性評価と光情報通信デバイスへの応用
Project/Area Number |
02J07776
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
館林 潤 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 半導体量子ドット / 有機金属気層堆積法 / 砒化インジウム / 半導体レーザ / 光通信 |
Research Abstract |
量子ドットはその大きな歪効果等に起因するバンドの自由度から、近年GaAs基板上で1.3或いは1.55μm帯でのレーザ発振を実現させるためのアプローチとして注目を集めている。既に多くのグループが量子ドットレーザの1.3μm帯でのレーザ発振を実現しているが、その殆どはMBEにより成長したものである。量産性や再成長・選択成長等を利用した光集積素子への応用を考慮するとMOCVDでレーザ発振を実現することは非常に重要である。今回、我々はMOCVD法を用いてGaAs基板上InAs量子ドットを活性層にもつ半導体レーザを作製し、室温連続発振を実現した。 MOCVDでの長波長レーザ発振を困難にしていたのは、pクラッド層成長時における量子ドットのアニール効果による発光波長の短波化である。今回、InAs量子ドットをInGaAs歪緩和層で埋め込むことにより量子ドットの発光波長を長波化させ、アニール効果による短波化を相殺している。また高密度化に必要不可欠な積層化量子ドットを作製する際の問題点として、キャップ層成長後の表面モフォロジーがある。このモフォロジーを改善する方法として、Inフラッシュ法を用いた方法を今回試みた。その結果キャップ層成長後の表面モフォロジーは大幅に改善し、極めて均一な積層化量子ドットを作製することに成功した。 以上の2点について改善を行い、減圧MOCVDで成長した3層InAs量子ドットを活性層に用いたリッジ型レーザ構造を作製し、両端面にHRコーティング(反射率92%)を施しその特性を評価した。その結果、発振波長1.18μm、閾値電流6.7mA(共振器長700μm)にてレーザ発振が得られた。この値は、全MOCVDで成長したGaAs基板上量子ドットレーザとしては世界最小値である。また、共振器長2mmのレーザ構造において低い閾値電流密度(147A/cm^2)でのレーザ発振を達成した。PL特性と比較した結果、今回得られたレーザ発振は量子ドットの基底準位からの発光と推定できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] J.Tatebayashi: "Luminescence in excess of 1.5μm at room-temperature of InAs quantum dots capped by a thin InGaAs strain-reducing layer"Journal of Crystal Growth. 237-239. 1296-1300 (2002)
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[Publications] J.Tatebayashi: "Optical characteristics of two-dimensional photonic crystal slab nanocavities with self-assembled InAs quantum dots emitting at over 1.3μm"International Conference on Solid State Devices and Materials. (2002)
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[Publications] 館林 潤: "1.3μm帯InAs量子ドットを有する2次元フォトニック結晶スラブにおける複数の欠陥モードの観測"第63回応用物理学会学術講演会. (2002)
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[Publications] J.Tatebayashi: "Observation of defect modes of two-dimensional photonic crystal slab nanocavities with self-assembled InAs quantum dots"International Conference on Photo-Electronic Crystal Structures. (2002)
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[Publications] 館林 潤: "MOCVD法により作製したGaAs基板上InAs量子ドットレーザの室温連続発振"第50回応用物理学関係連合講演会. 第3分冊. 1234 (2003)
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[Publications] S.K.Park: "A Study on High Density (up to 4.7 × 10^<11>/cm^2) InAs/AlAs Quantum Dot structures"第50回応用物理学関係連合講演会. 第3分冊. 1463 (2003)