2002 Fiscal Year Annual Research Report
銀行のコーポレート・ガバナンスにおける監督・規制の役割
Project/Area Number |
02J07804
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀田 佳文 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金融機関 / コーポレート・ガバナンス / 監督 / 規制 |
Research Abstract |
我が国の大手銀行は、金融庁の政策誘導によって、金融機関の不良債権の「最終処理」による財務体質の改善を加速させているが、深刻な景気低迷が続く中で、その先行きはなお不透明である。金融庁による政策誘導は、主として実質的に国が保有する優先株の転換を軸とした「国有化」圧力を挺子とするものであり、監督規制というよりはむしろ銀行に対するコーポレート・ガバナンスをいかに効かせるかという観点からのものである。しかし、実際の銀行側の施策は、持株会社形態や合併の利用による「隠れ減資」というべきものも多く、実効性という観点からは疑問が残る。そこで、本年度は「コーポレート・ガバナンス」と「監督・規制」という本研究のふたつの柱のうち、前者についてアメリカ型とヨーロッパ型の比較検討を行った。アメリカ型の制度として検討したのは、昨年7月に成立した米国企業改革法(及びこれに基づく米国証券取引委員会規則)である。また、ヨーロッパ型として検討しているのは、今年2月に閣議決定されたフランス金融監督法案(コーポレート・ガバナンス的条項も多く含む)である。後者がごく最近出されたため、現時点における結論としての比較評価は留保せざるを得ないが、我が国の会社法のアメリカモデル化が進むなかで、異なるモデルの存在は、示唆に富むものである。なお、本研究のバイ・プロダクトとして、本年度は別掲の公表業績がある。これらは、本研究本体の基盤をなす民商法上の基本的な知見を得るために執筆・公刊したものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 堀田 佳文: "銀行による不動産紹介融資の全額回収と「貸手責任」"ジュリスト. 1220. 135-138 (2002)
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[Publications] 堀田 佳文: "堪航能力保持に関する注意義務違反に基づく損害賠償の範囲"ジュリスト. 1229. 192-195 (2002)
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[Publications] 堀田 佳文: "第三者割当増資における手続上の瑕疵と事実上の推定"ジュリスト. 1238. 134-137 (2003)
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[Publications] 堀田 佳文: "生命保険契約に付加された災害割増特約約款に基づく災害死亡保険金請求訴訟における「偶発的な事故」の主張立証責任"法学協会雑誌. 119巻12号. 2533-2547 (2002)