2002 Fiscal Year Annual Research Report
白亜紀/第三紀境界深海性津波堆積物を用いた天体衝突による津波現象の地質学的検証
Project/Area Number |
02J07867
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 和久 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 深海性津波堆積物 / 白亜紀 / 第三期境界 / 地球外天体衝突 / キューバ / 津波 / 絶滅 / ペニャルベル層 / チチュルブクレーター |
Research Abstract |
白亜紀/第三紀境界における地球外天体衝突は,メキシコのユカタン半島での衝突クレーターの発見によって海洋に天体が衝突したことが示されている数少ない例で,衝突により発生した巨大津波に関する研究が数多くなされている.しかしながら,津波の規模や発生メカニズムはまだ十分理解されていない. 本研究の主目的は,キューバ調査で得られた深海性津波堆積物の岩石試料や,キューバの津波堆積物とは異なる地形的条件下で堆積したメキシコ湾海底のボーリングコア(DSDP536,540コア),およびクレーター内のボーリング試料(CSDPコア)を分析・解析することにより,天体衝突に伴って発生する津波の規模や発生メカニズムを定量的に検証し,それらを制約条件として,衝突に伴う津波の発生から海底の削剥・堆積までの一連の過程を,津波伝播および物理堆積学の理論を用いて定量的に復元することである. 本年度は、キューバにおける深海性津波堆積物の現地調査,およびアメリカ・ニューヨークのラモント研究所にてDSDP536,540コアの記載と試料採取を行った.特にキューバに露出するペニャルベル層と呼ばれる深海性津波堆積物については、広域的な調査の結果、水深差による津波の影響の違いが堆積物に反映されている可能性が高いことを明らかにした。さらに、粒子・鉱物組成,粒度分布の詳細な分析を行い,津波の繰り返しによる組成と粒度の同期的変動が6回以上繰り返していることを明らかにした. また,衝突クレーターへの海水の流入・流出に伴って津波が発生した可能性を地質学的に検証するため、メキシコのUNAM(メキシコ自由大学)においてクレーター内部の掘削コアの記載と試料採取を行った. これらの研究成果は、裏面に記載した論文にて発表を行った.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 後藤, 和久: "津波によって形成される深海底堆積物の構造とその水深による変化:キューバの白亜紀/第三紀境界深海性津波堆積物を例として"海岸工学論文集. 49巻. 286-290 (2002)
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[Publications] 後藤, 和久: "深海性津波堆積物の水深による堆積構造変化と堆積メカニズム"月刊地球. 24巻10号. 710-718 (2002)