2003 Fiscal Year Annual Research Report
白亜紀/第三紀境界深海性津波堆積物を用いた天体衝突による津波現象の地質学的検証
Project/Area Number |
02J07867
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 和久 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 深海性津波堆積物 / 白亜紀 / 第三紀境界 / 地球外天体衝突 / キューバ / 津波 / 絶滅 / ペニャルベル層 / チチュルブクレーター |
Research Abstract |
本研究の主目的は,キューバ調査で得られた深海性津波堆積物の岩石試料や,キューバの津波堆積物とは異なる地形的条件下で堆積したメキシコ湾海底のボーリングコア(DSDPコア),および衝突クレーター内のボーリング試料(CSDPコア)を分析・解析することにより,天体衝突に伴って発生する津波の規模や発生メカニズムを定量的に検証し,それらを制約条件として,衝突に伴う津波発生から海底の削剥・堆積までの一連の過程を,津波伝播および物理堆積学の理論を用いて定量的に復元することである. 本年度は、昨年度のキューバ調査で得られた試料,およびDSDP, CSDPコア試料の高解像度分析を行った.特にキューバ北西部ペニャルベル層,およびDSDPコア試料中に含まれる衝撃変成石英と呼ばれる衝突放出物(イジェクタ)の粒度と含有量を定量的に調べ,その飛来時間・海水中の沈降時間を計算することで,堆積時間に制約を与えた.その結果,津波の影響を反映していると考えられる組成変動が見られる層準がペニャルベル層とDSDPコアでほぼ同時間に堆積したことを示した.また,堆積時間と津波の繰り返しの回数から推定される津波の周期は約3〜7時間であることが明らかになった.この成果は、現在国際誌(Sedimentology)に投稿中である. また,衝突クレーター内部の堆積物(CSDPコア)を詳細に調べた結果,堆積物最上部約50cmには水の流れの作用を反映した斜交葉理が発達すること,堆積物の基質中にクレーター外部からもたらされたと考えられるナンノ化石が含まれることを明らかにし,衝突クレーター内部に海水が浸入していたことを初めて明らかにした.これは,衝突クレーターへの海水の流入と流出に伴って巨大津波が発生した可能性を強く支持するものである.この成果は、現在国際誌(Meteoritics & Planetary Science)に投稿中である.
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