2002 Fiscal Year Annual Research Report
電気伝導と低温STMによる一次元電子系の朝永-ラッティンジャー液体効果の検証
Project/Area Number |
02J07869
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 倫久 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 一次元電子系 / クーロンドラッグ / ウィグナー結晶 / 低温STM / 局所状態密度 / 朝永-ラッティンジャー液体 |
Research Abstract |
1、結合量子細線におけるTLL効果の検証実験と一次元電子系の物理の解明 結合量子細線において現れる負のドラッグ効果(平行に近接して並べられた量子細線おける電子-ホール間のドラッグ)に注目して、実験、および理論的な考察を進めた。負のドラッグ効果は、一方の細線中の電子状態がウィグナー結晶化することによって生じると考えてきたが、詳細なメカニズムは不明のままであった。今年度の研究により、負のドラッグ効果には、両方の細線における電子間相互作用(TLL効果)と不純物による散乱効果(運動量の保存を保障するため)が重要な役割を果たしていることを見出した。 結合量子細線における細線間のトンネル電流に関する実験も進めた。二つの細線中のモード間でのトンネル電流には、非相互作用系では説明されない効果が現れた。具体的には、各モードのフェルミ速度や細線内の電子密度を可変にして実験を行うことにより、新たなサブバンドの出現による運動量の跳びや、細線に電圧を印加することによる静電的な効果を観測した。 2、低温STM実験 極低温高真空STM実験については、まず、内部除振を考えてSTMヘッドを冷凍機に取り付け、装置を組み上げた。そして、長期間の高温ベークの後、所定の高真空度を達成した。STM観察に関しては、室温でグラファイトの基本的な原子像を観察した後、ヘリウム冷却、磁場印加、低温でのSTM動作安定化などの問題を改善しながら実験中である。現在は、半導体p-InAsの劈開面の観察を進めており、室温、高真空中では、清浄でフラットなSTM像と、半導体特有の電流-電圧特性が得られることを確認した。今後、低温(0.3K)、高磁場中での振舞いを確認した後、一次元電子系でのSTM、STS観察を目指す予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Yamamoto, M.Stopa, Y.Hirayama, Y.Tokura, S.Tarucha: "Negative drag in quantum wires"Proceeding of 26^<th> International Conference on the Physics of Semiconductors. (発表予定).