2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07915
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨田 直輝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フラーレン / DNA / 遺伝子導入 / ポリアミン / トランスフェクション |
Research Abstract |
種々のDNA結合性フラーレンの合成を行い、そのDNA結合能、遺伝子導入能力についての検証を行った。合成は、既報の化合物については報文通りに行い、それ以外のものについては研究員が独自に開発した位置選択的多重アミノ化法(Org. Lett.2000)を用いて行った。その結果アミノ基を1つから12まで持つ種々のカオチン性フラーレン・ポリミアンを合成することに成功した。これらに対し、臭化エチジウムの競合結合実験によりDNAに対する結合力を評価した。DNA結合分子を臭化エチジウムのインターカレートしたDNAに作用させることで、臭化エタジウムを追い出し、その量をDNA・エチジウム複合体の蛍光強度の変化により見積もった。その結果、全てのカオチン性フラーレンが1μM程度のC_<50>値を示し、通常のテトラミンと同程度の強いDNA結合力を持つことが明らかとなった。カチオン電荷と結合力との相関直線の傾きは、通常のポリアミン類よりもずっとゆるやかであり、このことからC_<60>骨格同工の疎水性相互作用、及びC_<60>骨格とDNAの疎水性塩基部位との疎水性相互作用がDNAに対する結合力に大きく影響していることが示唆された。 そこで、各化合物を用いて遺伝子導入実験を行った。ホタルルシフュラーゼの遺伝子をマーカー遺伝子としてもつプラスミドDNAに対しDNA結合フラーレンを割合を変えて結合させ、細胞上に加え培養した。24穴プレートを用いることで多くの実験条件の高速スクリーニングを行った。その結果、両腕構造をもつフラーレンテトラミンが最も高い遺伝子導入効率を示した。このことから、側鎖のアミン残基の空間配置と分子全体の親水性と疎水性のバランスが遺伝子導入という機能に最も重要であることが分かった。
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