2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J07929
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土屋 兼一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際研究者交流 / 宇宙線 / ガンマ線天文学 / 暗黒物質 / 銀河中心 / 光電子増倍管 / チェレンコフ光 |
Research Abstract |
宇宙暗黒物質の最も有力な候補であるニュートラリーノが銀河中心に集積すると、対消滅を起こして超高エネルギーガンマ線を放出するという理論的可能性が指摘されている。研究代表者はチェレンコフ望遠鏡(CANGAROO-II)を用いて地上から銀河中心を観測することにより、このようなガンマ線の観測を試み、間接的ではあるが宇宙暗黒物質としてのニュートラリーノの探索を行っている。 平成15年度の研究実績を以下に示す。 1、平成14年度の観測で得られた銀河中心のデータの解析を行った。 平成13年度の観測データで銀河中心からの超高エネルギーガンマ線の超過イベントが検出されたが、平成14年度のデータからも同様なガンマ線が検出され、統計的に有意な結果が得られた。 2、4月にチェレンコフ望遠鏡が設置してあるオーストラリアで観測作業を行った。 3、6月にドイツで開催された国際シンポジウム「Beyond the desert '03」においてCANGAROO-III望遠鏡の状況とこれまでの成果、そして研究代表者が解析している銀河中心の結果の発表を行った。 4、8月に茨城県筑波で開催された「第28回宇宙線国際会議」において、銀河中心について発表を行った。銀河中心からの超高エネルギーガンマ線の検出に世界で初めて成功したこと、エネルギースペクトルが急なべき乗をもつことを報告した。 5、得られたエネルギースペクトル、統計的有意度2次元MAPから銀河中心のガンマ線放射機構について研究し、宇宙線の電子起源より陽子起源がもっともらしいことが示された。また、宇宙暗黒物質について銀河中心での密度の制限を与え、暗黒物質の銀河内分布から地球近傍の暗黒物質密度に対して制限を与えた。 6、12月に京都大学で開催された研究会で銀河中心のガンマ線放射機構について発表を行った。 7、3月に九州大学で開催される日本物理学会でこれまでの研究のまとめを行う予定である。 8、現在、最終的な結果を論文にまとめ、投稿中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Kabuki et al.: "Development of an atmospheric Cherenkov imaging camera for the CANGAROO-III experiment"Nucl.Instr.Meth.. A500. 318-336 (2003)
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[Publications] R.Enomoto et al.: "Search for TeV gamma-rays from SN1987A in 2001"Astrophys.J.Lett.. 591. L25-L28 (2003)
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[Publications] C.Itoh et al.: "Evidence for TeV gamma-ray emission from the nearby starburst galaxy NGC253"Astronomy and Astrophysics. 402. 443-455 (2003)