2002 Fiscal Year Annual Research Report
被子植物における雄性配偶子形成因子の単離と機能解析
Project/Area Number |
02J07962
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 稔幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 被子植物 / 花粉 / 雄性配偶子 / 不等分裂 / 受精 / 生殖細胞形成 / 色素体分裂 / 母性遺伝 |
Research Abstract |
これまでの研究成果として、私はテッポウユリ花粉の雄原細胞から単離したftsZ遺伝子の産物が、リング状の構造となって色素体の収縮分裂に働くことを細胞形態学的に実証した。この成果として得られた抗FtsZ抗体とそれを用いた実験法はあらゆる植物に応用が可能であり、多くの論文発表に貢献した。平成14年度の成果として、FtsZの雄性配偶子細胞における発現は色素体ゲノムの遺伝様式に依存的であり、色素体ゲノムが母性遺伝する植物においては、FtsZタンパク質が存在しないことを示した。 また、テッポウユリの単離雄原細胞を用いたさらなる遺伝子探索をディファレンシャルディスプレイ法によって試みたところ、新規雄性配偶子特異的遺伝子gcs1のクローニングに成功した。この遺伝子産物であるGCS1は雄原細胞の細胞膜に特異的に発現し、花粉管を移動する精細胞においても検出された。さらに変異体の表現型観察から、GCS1は花粉の正常な発達に重要な役割を持つ雄性配偶子側の因子であることが示唆された。 一方、雄性配偶子形成に関与する因子を探索したところ、緑藻の生殖細胞形成に働くglsA遺伝子がシロイヌナズナのゲノム上に存在することを突き止めた。この結果からglsAが被子植物の雄性配偶子形成に働くことを予想し、研究を進めたところ、雄原細胞で強い発現を見せるテッポウユリglsA遺伝子(LlglsA)の発見に至った。この遺伝子産物であるLlGlsAの発現を調査すると、LlGlsAは花粉発生過程のうち、雄原細胞の成熟過程で強い発現を見せ、発現量変化には微小管構造の発達との同調が見られた。この結果を細胞形態学的に検証したところ、雄原細胞で大量に発達する微小管構造とLlGlsAの共局在が見られた。これらの結果から被子植物のGlsAは生殖細胞の発達に伴う微小管等の構造変化に働く可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kuroiwa, H. et al.: "Chloroplast division machinery as revealed by immunofluorescence and electron microscopy"Planta. 215. 185-190 (2002)
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[Publications] Miyagishima, S. et al.: "A plant-specific dynamin-related protein forms a ring at the chloroplast division site"Plant Cell. 15. 655-665 (2003)
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[Publications] Momoyama, Y. et al.: "The pleomorphic division of plastids by FtsZ in tobacco Bright Yellow-2"Eur. J. Cell Biol.. (印刷中).