2002 Fiscal Year Annual Research Report
オーガナイザー特異的ホメオドメイン蛋白質Xlim-1の活性制御機構の解析
Project/Area Number |
02J07965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平谷 伊智朗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オーガナイザー / Xlim-1 / XRnf12 / RLIM / アフリカツメガエル / LIMホメオドメイン蛋白質 / ユビキチン / プロテアソーム |
Research Abstract |
シュペーマン・オーガナイザーの分子基盤を探る目的で、アフリカツメガエルのオーガナイザーに特異的に発現するLIMホメオドメイン(LIM-HD)型転写因子Xlim-1に注目してその制御因子の候補XRnf12/RLIMとXlim-1およびその正の制御因子Ldb1との機能的相互作用の検討を行ってきた。これまでの一連のmRNA注入実験の結果、XRnf12はXlim-1とLdb1による2次軸形成をRINGフィンガー依存的に抑制し、これがXRnf12によるユビキチン・プロテアソーム経路を介したLdb1蛋白質の分解によることが示唆された。一方興味深いことに、Xlim-1はXRnf12によるLdb1蛋白質分解を阻害し、この阻害にはXlim-1とLdb1それぞれの相互結合領域が必要であることが新たに示された。このことはXRnf12がXlim-1と未結合のLdb1を選択的に分解していることを示唆している。LIMホメオドメイン(LIM-HD)型転写因子Xlim-1はオーガナイザーにおいて正の調節因子Ldb1とそれぞれ2分子ずつからなる4量体を形成して転写調節を行うと考えられている。XRnf12とLdb1は原腸胚期中胚葉において共発現することから、XRnf12が余剰のLdb1分子の分解を促進することでXlim-1とLdb1の量比の維持に重要な役割を演じ、両者の正常な4量体形成を促す可能性が示された。一方、Ldb1蛋白質に対する抗体を入手し生体内におけるLdb1蛋白質の原腸胚期における発現を調べた所、ほぼLdb1 mRNAの分布に従って中胚葉・外胚葉に均一な発現を示した。Xlim-1はXRnf12によるLdb1蛋白質分解を阻害したがこの発現パターンの解析結果から、背側に強く発現するXlim-1によってLdb1が腹側で選択的に分解されている可能性は低いと考えられた。従って現時点ではXlim-1によるXRnf12依存的なLdb1分解の阻害活性の意義は、Xlim-1とLdb1量比の維持である可能性が高く、今後この可能性をさらに検討していく予定である。
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