2002 Fiscal Year Annual Research Report
有機アニオン性化合物の血液脳関門透過過程における種々輸送担体の寄与の解明
Project/Area Number |
02J07977
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 大介 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 血液脳関門 / トランスポーター / Central Nervous System / 甲状腺ホルモン / アニオン性化合物 / Oatp / Oat |
Research Abstract |
近年、血液脳関門の関門機構の一つとして、脳毛細血管内皮細胞膜に発現するトランスポーターを介した輸送機構が注目されている。私は現在までに、血液脳関門を介した種々有機アニオン性化合物の脳内からの排出過程における種々トランスポーターの寄与を明らかにしてきた。しかし、血液脳関門に発現する既知のトランスポーターだけでは脳内からの種々有機アニオン性化合物の排出を完全には説明できなかった。Liらはサブトラクション法により血液脳関門に特異的に発現しているトラスポーターを見いだした(BSAT/Oatp14; J. Cereb. Blood. Flow. Metab.2001,21,61-68)。私は、BSAT/Oatp14ならびにそのヒトホモログであるOATP-Fの遺伝子発現系を作製し、基質選択性を明らかにした。 rat Oatp14、及びhuman OATP-Fをクローニングし、HEK293細胞を宿主細胞として安定発現系を作製し、輸送実験を行った。また、RT-PCR、Nothern Blot、Western Blot法により、これらトランスポーターの組織分布、局在を検討した。 rat Oatp14、及びhuman OATP-Fの脳、小腸での発現が示された。さらに、脳において脳毛細血管内皮細胞、脳脈絡叢上皮細胞の血管側膜に局在していることが示された。また、輸送実験の結果からrat Oatp14、及びhuman OATP-Fが甲状腺ホルモンであるthyroxineに対して非常に高い輸送活性を持ち、その親和性はrat Oatp14、及びhuman OATP-FともK_m=0.1μM程度と既存のトランスポーターと比較して50倍以上高親和性であることが示された。さらに甲状腺機能亢進症、及び低下症時においてOatp14の脳毛細血管内皮細胞での発現量の変化が観察された。血中の甲状腺ホルモンの大部分は、thyroxineとして甲状腺より分泌され、標的組織において活性型のT3へと変換され、その効果を発揮する。甲状腺ホルモンは脳神経の成長、分化に関わっており、特に胎児期、新生児期で必須とされている重要なホルモンである。今回、私が見いだしたOatp14/OATP-Fが、thyroxineの脳内への輸送に関与しているものと考えられる。 現在、上述の研究結果についてJournal of Biological Chemistry、及びMolecular Pharmacologyに投稿している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] D.Sugiyama, H.Kusuhara, Y.Shitara, T.Abe, Y.Sugiyama: "Effect of 17β-Estradiol-D-17β-Glucuronide on the Rat Organic Anion Transporting Polypeptide 2-Mediated Transport Differs Depending on Substrates"Drug Metabolism and disposition. Vol.30, No.2. 220-223 (2002)