2002 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌由来ベンゾイソクロマンキノン系抗生物質の生合成研究
Project/Area Number |
02J07991
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田口 貴章 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 放線菌 / 抗生物質 / 立体特異的還元酵素 / in vitro assay / Homology modeling / 基質チャネリング / site directed mutagenesis |
Research Abstract |
放線菌由来ベンゾイソクロマンキノン系抗生物質生合成に関わる2種の立体特異的還元酵素RED1・RED2は、アミノ酸一次配列上有意な相同性を示さないにも関わらず同一化合物を基質とし立体化学が逆の生成物を与える。両酵素の反応機構を解明・比較するため生化学的検討を行った。 RED1・RED2の本来の基質は単離不可能であるため、そのアナログ基質及び期待される還元生成物を合成した。RED1をコードするact VI-ORF1、RED2をコードするgra-ORF6をPCRで増幅し大腸菌用発現ベクターに組み込んだ後、大腸菌を形質転換した。得られた形質転換体から粗酵素液を調製し、RED1・RED2が発現していることをSDS-PAGE及びwestern blottingにより確認した。粗酵素液と上記アナログ基質を用いin vitro assay系を構築し両酵素の還元活性を検討したところ、RED1からは活性を検出できたのに対しRED2からは還元活性を検出できなかった。この結果から両酵素の本来の基質は同一化合物であるものの、その基質特異性は大きく異なることが示唆された。Homology modeling法により両酵素の3次元構造を予測し比較したところ、RED1の基質結合部位はRED2のそれよりも大きいと予想され、このことが基質特異性の差の要因であると推測した。 活性を検出できたRED1についてさらに検討した結果、基質は以前まで考えられていたように酵素結合型として反応するのではなく、基質のみがRED1と結合、反応している可能性が高まり、生合成酵素間基質チャネリングに関する新たな知見を得ることができた。またHomology modelingからRED1の活性発現に必須であると予想されたHis129、Glu141についてsite directed mutagenesisにより検討し、この両残基が確かにRED1の性発現に必須であることを明らかにした。
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