2003 Fiscal Year Annual Research Report
マウス概日時計発振系における転写因子BMAL分子群の協調作用メカニズム
Project/Area Number |
02J08002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 桃子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 概日時計 / サーカディアンリズム / 視交叉上核 / BMAL1 / BMAL2 / CLOCK / スプライスバリアント / 転写制御 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した研究目的・実施計画に沿って研究を進め、下記の成果を得た。 【1】マウスBMAL分子群の転写活性化能の解析 転写因子としてのmBMAL1とmBMAL2の機能を比較するために、まず、マウスBMAL2の全長をクローニングし、真核細胞発現用のコンストラクトを作製した。これらのコンストラクトを用いて培養細胞中にBMAL分子を発現させたところ、いずれのBMAL分子も単独発現に比べCLOCKとの共発現により発現量が増加した。この結果から、BMAL分子はCLOCKと相互作用することにより自らの安定性を調節している可能性が考えられた。ルシフェラーゼアッセイにより転写活性化能を調べたところ、mBMAL1に加えてmBMAL2もCLOCKと共にmPer1上流配列を介して転写を活性化する能力をもつことがわかった。このことから、mBMAL2が時計発振の中核を担う転写調節に寄与する可能性が考えられる。 【2】マウスBMAL分子群の発現様式の解析 mBMAL1,mBMAL2,およびそれぞれのスプライスバリアントが協調的に遺伝子発現を制御する可能性を検証するために、初年度に作製した抗BMAL2抗体を用い、マウス脳ホモジェネイトに対するウエスタンブロット解析を行った。その結果、視床下部をはじめ脳の各領域において、培養細胞中で発現させたmBMAL2a(およそ70kDa)よりも易動度の小さい陽性バンドが検出できた。このバンドは、抗原部位の異なる2種類の抗BMAL2抗体によって検出できたことから、生体内のmBMAL2由来の分子であると考えられた。この分子の見かけの分子量はmBMAL2aの計算分子量とは異なることから、 mBMAL2aが翻訳後修飾された分子である可能性、あるいはmBMAL2の新規のバリアントであると推定される。
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