2002 Fiscal Year Annual Research Report
古生代・中生代境界事件と超海洋中央部での古環境変化
Project/Area Number |
02J08011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 彩乃 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炭素同位体比 / ペルム紀中期 / 後期境界 / 石灰岩 / 炭酸塩 / 高千穂 / 上村 / 超海洋表層 / 溶存無機炭素 |
Research Abstract |
本研究では,宮崎県北部に産する、層序学的に連続した上村セクションのペルム紀中期/後期(G-L)境界前後の炭酸塩の炭素同位体比(δ^<13>C_<carb>)変動を明らかにするため,G-L境界前後を特に詳細な層序間隔で採取した試料の分析を行った。その結果、上村セクションのδ^<13>C_<carb>中値は,全層序において正であり,また,フズリナで定義されたG-L境界直下で負方向へ約2%。シフトすることが、明らかにされた。 上村セクションでは,ペルム紀中期に栄えたVerbeekinidae科の大型フズリナが絶滅した後,δ^<13>C_<carb>値が上位へむかって急減し始める層準からStaffellidae科の小型フズリナが産出し始め,δ^<13>C_<carb>値の約2%の急減が終了した直後からヘルム紀後期型のCodonofusiella属やReichelina属の小型フズリナが出現し始める。上村セクションのδ^<13>C_<carb>値は超海洋中央部表層の溶存無機炭素の同位体組成を反映していると考えられることから,G-L境界頃の超海洋表層において,生物の種類の入れ替わりとともに炭素固定システムに大きな異常が生じたことが示唆された。 今後,他地域のG-L境界セクションでもδ^<13>C_<carb>値の急減が確認された場合,上村セクションで示されたG-L境界直下でのδ^<13>C_<carb>値の急減の現象が,世界的な化学層序対比の鍵になる可能性がある。
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Research Products
(1 results)