2002 Fiscal Year Annual Research Report
回転星の安定性解析 -星形成および重力波源への応用
Project/Area Number |
02J08013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鴈野 重之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 動力波 / 中性子星 / 安定性 / ダイナミカル不安定 / 線形解析 / 自己重力流体 / 摂動理論 / 回転星 |
Research Abstract |
自己重力流体は高速回転下で,非軸対称モードに対してダイナミカルに不安定化することが知られている。しかし、不安定化が起こる限界回転速度は剛体回転一様密度星モデルについてしかわかっていなかった。本研究ではこの不安定限界に対する微分回転の効果を詳細に研究し、微分回転を伴うような星はより不安定化しやすいことを初めて示した。 本研究では線形安定性解析の手法を用いて星の安定性を評価した。すなわち、星の平衡モデルに微小な摂動モードを加えた方程式系を数値的に解き、求まった固有値によって安定性を議論する。すなわち、求まった固有値が有限の虚数部分を持ち始める点を不安定の閾値として評価する。剛体回転星においてはT/|W|が0.27という超高速回転を考えたときにのみダイナミカル不安定が発生することが知られていた。ここでTおよびWは各々星の回転エネルギーと動力ポテンシャルであり、その比をもって回転の強さを表す。しかし、強い微分回転の効果を取り入れるとこの閾値はT/|W|=0.2程度まで減少することが本研究により明らかになった。微分回転の回転則としては複数の回転側を採用し、各々の場合における不安定の閾値低下について調べた。また、この不安定限界値の低下は流体の病態方程式にほとんど依存しないことがわかった。この結果は、超新星爆発や連星合体により誕生したばかりの、まだ回転則が粘性により一様化される以前の中性子星がダイナミカル不安定に陥る可能性を示唆する。このような不安定性は中性子星のスピン進化を解明する上で重要であるばかりでなく、新たな動力波源として動力波天文学の観点からも興味深い。 また、現在ではより回転が遅い場合に発生するダイナミカル不安定性について初めてとなる系統的解析を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Karino et al.: "Gravitational radiation reaction driven secular instability of f-mode oscillations in differentially rotating Newtonian stars"Astrophysical Journal. vol.578. 413 (2002)
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[Publications] M.Shibata et al.: "Dynamical instability of differentially rotating stars"Monthly Notices of the Royal Astronomical Society. 334. L27 (2002)