2002 Fiscal Year Annual Research Report
遠赤外単一光子応答を利用した量子ドットの分光学的研究
Project/Area Number |
02J08015
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久津輪 武史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 量子ドット / 単一光子検出 / RF-SET / マイクロ波フィルター |
Research Abstract |
本研究は大きく分けて二つあり、[1]RF-SETを用いた高速単一光子検出と[2]鋭い発光スペクトルを持つ遠赤外光発振器を用いた単一量子ドット分光である。 本年度は、RF-SETを用いた高速単一光子検出に取り組み、高速単光子検出に成功した。さらに[2]に関して外部発光源から希釈冷凍機内に遠赤外光を導く光学系の設計と作製を行った。 [1]に関してRF-SET測定技術は、測定系回路の構築とともにSETが置かれる測定環境を改善することが重要であった。当初、量子ドットによるSET動作は量子ドットにつないだ高周波ケーブル、またはゲート配線からくるマイクロ波光子が大きな誤作動の原因となっていた。これらのマイクロ波を防ぐために、極低温で働く大きな減衰をもつマイクロ波フィルターを考案、作製した。このフィルターは大きな電気抵抗率を持つグラファイトペーストと表皮効果によって10GHz以上のマイクロ波を効率よく減衰することができる。ツイステッドペアに対しても同様の効果をもつフィルターを作製した。この改善によって、30MHzのRF-SET測定系を用いた高速単一光子検出を行い、従来の測定系を用いた場合よりも70μm以上長い波長域240〜270μmでの単光子検出に成功した。この測定によって得られた測定系時定数は約7μs、最大帯域幅は50kHzに達した。しかし、この測定系では、低雑音増幅器から発せられる雑音が予想以上に大きく、当初計画していた性能が発揮されておらず、補助金によって新たに超低雑音高周波増幅器を購入した。これを用いた測定はまだ行っていないが、時定数1μs程度が得られるものと期待できる。 なお、これらの成果発表は、投稿準備中である。またマイクロ波フィルターに関しても特許出願準備中である。
|