2002 Fiscal Year Annual Research Report
ツメガエル胚におけるlefty/antivinの関連遺伝子Xantivinの解析
Project/Area Number |
02J08029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
種子島 幸祐 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中胚葉誘導 / アクチビン / nodal / lefty / antivin / ツメガエル / モルフォリノオリゴヌクレオチド |
Research Abstract |
TGF-β superfamilyに属するleftyやantivnと呼ばれる遺伝子のツメガエルホモログであるXantivinは、ツメガエル胚の中胚葉誘導においてアクチビンシグナルのフィードバックインヒビターとして働くことがわかっている。しかし、この遺伝子の胚内での中胚葉誘導における役割については、まだ不明な点が多く残されている。本研究では、Xantivinの作用機構を明らかにすることを通して、中胚葉誘導のメカニズムを明らかにすることを目的としている。今年度の研究では、主にモルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた機能欠損実験による解析を行った。このオリゴヌクレオチドを微量注入した胚は、正常胚と比較して胴体部分が長く、頭部が小さいといった特徴的な表現型を示した。切片の観察により、これらの胚は、肥大した脊索や筋肉を持ち、脊索は胚の前端まで拡張していた。これらの表現型はlefty-2欠損マウスでも観察された中胚葉の過形成と一致する。また、初期胚においては、中胚葉マーカーの発現する範囲の拡大が見られ、ノーダル関連遺伝子の過剰な発現も観察された。これらのことから、Xantivinが胚内で、アクチビンおよびノーダルシグナルの過剰な状態にならないように制御していることを示唆しており、このネガティブフィードバックにより中胚葉が限局した場所に形成されることが示唆された。また、Xantivinのオリゴヌクレオチドを微量注入した胚の表現型を、あるタイプのアクチビンレセプターのドミナントネガティブフォームのmRNAとの共注入で回復させることができることから、あるタイプのアクチビンレセプターとの相互作用が示唆された。今後はこのレセプターとの相互作用について更に解析を加える予定であり、この解析により今まで明らかではなかったlefty/antivnの作用機序を明らかにすることが期待される。
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